「有給休暇」の取得率高い300社最新ランキング 働き方改革への注目が集まっているが…

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ランキングでは今年もホンダ系がランキング上位を独占した。1位はホンダ系部品メーカーで輸送用精密機能部品関連のショーワだ。3年平均取得率は99.4%とほぼ完全消化状態。2年連続のトップとなった。2位はホンダと、系列部品メーカーのケーヒンが99.1%で並んだ。3年平均取得率が99%以上なのはこの3社だけだ。

ホンダは1970年代から有給休暇の繰り越し消化をなくす「有給休暇カットゼロ運動」などに取り組んでおり、本ランキングでも常に上位だ。「よく働き、よく遊べ」という創業者精神が、系列企業を含めて浸透しているといえるだろう。

しかし、ホンダ系部品メーカーは事業再編の真っただ中だ。ショーワ、ケーヒン、日信工業の3社は日立製作所の完全子会社である日立オートモティブシステムズと合併予定。日立製作所の3年平均取得率は72.7%(184位)と高水準ではあるが、合併によって従業員の働き方にも影響があるかもしれない。

4位にはトヨタ系部品メーカーの東海理化がランクインした。同社はフレックスタイム制度の導入や在宅勤務制度のトライアルを開始するなど、柔軟な働き方の拡充に取り組んでいる。有給休暇に関しては、個人別の年間取得計画表の策定や有給休暇のカットゼロ運動などを展開している。

5位のトヨタ系部品大手のアイシン精機も、同様にカットゼロ運動を展開し、「ミニマム14日」として、組合員を対象に最低年14日の有給休暇取得に取り組んでいる。そのほか、6位に関西電力、7位にテイ・エス テック、8位に日本電信電話(NTT)、9位にコマツ、10位にDMG森精機がランクインした。

非製造業でも取得しやすい環境作りに取り組む企業も

今回もランキング上位は自動車関連企業が独占した。一般的に、業務計画を立てやすい製造業のほうが、取得率が高い傾向にある。しかし、非製造業でも有給休暇を取得しやすい環境づくりに取り組んでいる企業はある。

人手不足が深刻な小売業では、三越伊勢丹ホールディングスが83.4%でトップとなり、全体平均の58.3%を大きく上回った。同社では、有給休暇に加えて連休用の休日を設定しており、1週間の連続休暇を年4回取得できる。また、部長クラスの人事評価に自身の有給休暇消化状況を加えるなどの取り組みも行っている。

ディズニーランドを運営するオリエンタルランドも86%と、同じく人手不足が進むサービス業でトップだ。同社は、パートや準社員など正社員以外も毎年90%以上有給休暇を取得している。勤務の柔軟化に加えて、新たな社員区分「テーマパークオペレーション社員」を導入するなど、働きやすい環境の整備と安定した雇用、人材の強化を同時に推進している。

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