財務面から企業の力を探る「東洋経済財務力ランキング」は今回で14回目(昨年までは「新・企業力ランキング」という名称)の発表となった。成長性、収益性、安全性、規模の4つのカテゴリーで、それぞれの財務指標(3年平均)を多変量解析の「主成分分析」で相対的に評価。各得点を合計してランキングを作成している。
このうち、収益性、安全性、規模の3つの得点はCSR企業ランキングでも使用。CSRと財務の総合評価を作成する際にも活用している。
ランキング対象は2019年9月1日時点で上場している一般事業会社(銀行、証券・先物、保険、その他金融は除く)のうち、主成分分析用の財務データが取得可能な3515社だ。今回は、この中から上位300社をご覧いただく。なお上位2000社は4月発売予定の『CSR企業白書』2020年版に掲載する予定だ。
今年の1位は東京エレクトロンに!
1位は昨年2位から上昇した東京エレクトロン(3801点)。半導体製造装置で世界3位の同社は2018年までの世界的な半導体需要拡大で、2019年3月期の売上高は前年比13.0%アップの1兆2782億円。営業利益は3105億円、当期純利益も2482億円で、ここ2年で倍増。成長性得点は915点から947点に上昇した。
ROEは30.1%とメーカーとしては圧倒的な数字。売上高営業利益率24.2%、当期純利益率19.4%と高水準で収益性得点も829点から854点に上昇した。もともと高い安全性1000点、規模1000点とあわせて2位を大きく離す独り勝ち。
ただ、半導体需要の悪化などで2020年3月期は減収減益の見込み。しかし、本ランキングは3年平均の値を使うため、2019年までの蓄えで2年連続1位の可能性もありそうだ。
2位は昨年5位から上昇した任天堂(3716点)。成長性923点、収益性793点、安全性1000点、規模1000点と安全性、規模が高得点。売上高は2017年3月期4890億円、2018年3月期1兆556億円、2019年3月期1兆2005億円と急上昇。「ニンテンドーDS」「Wii」などで絶好調だった2009年3月期の1兆8386億円はまだ遠いが確実に復活を遂げている。ROEも14.2%で10%を超えるなどで収益性も高評価となった。
ゲーム機「スイッチ」は依然好調で2020年3月期も安定成長の見込み。かつて第3回から第5回まで3年連続トップの同社が久しぶりの首位奪還になるか注目だ。
3位は昨年と同じくキーエンス(3706点)。FAセンサーなど検出・計測制御機器大手の同社は、生産は国内の他社工場などに任せる「ファブレス企業」。成長性849点、収益性857点、安全性1000点、規模1000点と安全性、規模に加えて成長性、収益性も高い。
無借金経営で安全性の高さは際立つ。売り上げも安定的に成長。2019年3月期は売上高5870億円で6000億円も視野に入ってきた。利益水準も高く営業利益率は50%を超えている。依然、トップが狙える位置にいる。
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