鼻と目の両方に症状がある場合、症状が重い場合には、鼻スプレーと目薬の両者を使うのも手ですが、そんなときには、「抗ヒスタミン薬」と呼ばれる飲み薬が有効です。
病院を受診すると、最初に処方される薬かもしれませんが、鼻スプレーや目薬などと比べて、全身治療であるために全身の副作用リスクも高く、眠気や集中力の低下、体重増加などの副作用が一定の確率で生じることが報告されています。また、各企業が「うちの薬が1番」と宣伝に力を入れていますが、科学的には効果は同様との見方をするのが適切と思います。
いずれかの抗ヒスタミン薬を試してみて、眠気やだるさが強いという場合には、種類を変えてみる、あるいは飲み薬をやめて鼻スプレーと目薬に変えてみるというのも有用な選択肢だと思います。
花粉症は治るのか?
さて、花粉症と一生付き合っていかねば……と思っている方も多いかもしれませんが、花粉症は治る可能性もあります。
まず、花粉症の治療の意味合いが大きく2つに分かれるということを皆さんは意識されたことがありますか?
どんな病気の治療もそうですが、病気の治療というのは大きく次の2つに分類できます。1つが対症療法、もう1つが根治療法です。
対症療法とは、症状を抑えるための治療です。この対症療法を行っていても、薬により症状を抑えているだけなので、原因となる花粉が飛んでいる限りは、治療をやめてしまえば症状はすぐに逆戻りとなります。例えば、風邪の「治療薬」はこの対症療法です。
皆さんが「花粉症の治療」と聞いてすぐにイメージされるのは、この対症療法のことだと思います。実際に、先にご紹介した花粉症治療もすべてこの対症療法です。
一方、根治療法とは、花粉症の原因自体を治し、治療がなくとも症状がなくなることを目指すための治療です。例えば、胃にとどまる胃がんに対する手術も根治療法ということができます。
花粉症の場合、この根治療法の基本は、原因の回避すなわち花粉の回避ということになりますが、国外に転勤される方などを除き、スギ林の密集する日本では現実的ではありません。実際に私も花粉症を持っていますが、アメリカに居住している間に「根治」し、この根治療法の有効性を、身をもって体験しました。が、日本に戻ったいま、花粉症もばっちり逆戻りです。
この原因回避に変わって有効な可能性が高いのが、皮下免疫療法や舌下免疫療法と呼ばれる「免疫療法」です。
この治療法は、花粉の抽出液を少量から体内に投与し、時間をかけて少しずつその量を増やしていくことで、身体を「慣れさせ」、花粉に対するアレルギー反応を抑えるというものです。
過去の厚生労働省の報告から、8割以上の方に有効であったとされており、毎年症状の重い方は、試す価値があるかもしれません。病院で注射を打つタイプや自宅で口から入れるタイプがあり、その選択については医師とよくご相談ください。
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