薄氷を踏むアメリカ医療保険改革法案、オバマ政権の行方を左右


 オバマ政権の内政の最重要課題である医療保険制度改革法案が11月7日下院で可決された。賛成220票、反対215票という僅差だった。これから上院の法案が審議される。それが可決されても、その後、上下両院それぞれの法案を一本化する作業が必要であり、難航が予想される。年末までにオバマ大統領の手元に法案が届くがどうか怪しい雲行きである。

オバマ政権の最大の内政イシュー

この医療保険制度の法制化ができなければオバマ政権の政治基盤は揺らぎ、来年の中間選挙での民主党の議会多数派支配はおぼつかなくなる。オバマ政権にとって、この法案成立の成否はアフガニスタンへの軍隊増派是非とともに最重要政治イシューなのだ。

米国は国民皆保険ではない。国勢調査局によると、米国人の4600万人は医療保険に入っていないという。その人数は昨年来の不況によってさらに増えている。企業倒産やレイオフのあおりで、企業による保険カバーを失う従業員が急増しているからだ。

米国の医療費はGDPの15%に上る。専門家の予測では、抜本的な医療保険改革がなければ個人所得ないし家計所得に占める医療費の比率は向こう7年間に倍増する見込みだ。2000~09年の間に中間層の所得は17%増えたが、企業によってカバーされる医療保険コストは95%も増えたという。医療保険制度の改革は米国人一人ひとりにかかわる問題なのである。

下院法案と上院法案の共通点と相違点

米議会の大多数は医療保険について「何らかのことをすべき」であり、「何もしないという選択はない」と思っている。しかし、現状維持を唱える議会勢力も根強い。議会に対して、製薬会社、保険会社、医師、病院、医療機器メーカーなどから強烈な陳情が押しかけている。そのうち医師を代表するAMA(全米医療協会)、大手の医療保険会社は下院の法案を支持している。

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