BBCの「受信料廃止」はどこまで現実的なのか 問われ始めた有料「公共放送」の存在価値
「まさか、そんなことはないだろう」とは思いつつも、ひょっとしたら……の議論がイギリスで起きた。
きっかけは、日曜紙のサンデータイムズ(2月16日付)の記事だ。これによるとイギリス政府はBBCのテレビ・ライセンス料(日本のNHKの放送受信料に相当、以下「受信料」)を廃止し、希望者のみが視聴料を払う課金制(サブスクリプション)の導入を視野に入れた見直し作業を始める意向だという。
BBCは1920年代の創業以来、受信料制度でその活動の大部分をまかなっており、もし課金制になれば収入が激減すると言われている。使えるお金が大きく減少すれば、活動を大幅縮小するか、停止するしかない。
首相官邸によるBBC改革案の「中身」
「首相官邸がBBCに対し、受信料は廃止になると通告――課金制への移行でテレビのチャンネル閉鎖へ」
サンデータイムズの1面トップ記事の見出しを見て、多くの人が驚いたに違いない。筆者もその1人だった。BBCの受信料が廃止され、テレビのチャンネルが複数閉鎖されたら、もはやBBCはイギリスの放送業界の顔ではなくなる。
記事のネタ元になったジョンソン首相の「側近」によれば、官邸が想定するBBC改革案は以下である。
・BBCの61のラジオチャンネルの大部分を売却する
・テレビのチャンネル数(現行は10チャンネル)を減少させる
・BBCのウェブサイトの規模を縮小化する
・国際ラジオ放送「ワールドサービス」への投資を増やす
・BBCの著名スタッフが巨額の副業をすることを禁じる
無料会員登録はこちら
ログインはこちら