BBCの「受信料廃止」はどこまで現実的なのか

問われ始めた有料「公共放送」の存在価値

官邸筋によれば、「はったりをかけているのではない。受信料制度についての審議会を立ち上げて、BBCをたたいてやるぞ」。

見直し作業を主導するのは与党・保守党のジョン・ウィッティングデール議員だという。議員は元文化相で、反BBCの姿勢で知られている人物だ。しかも、ジョンソン首相のガールフレンドで、今は首相とともに官邸に住むキャリー・シモンズさんは、元ウィッティングデール氏の政策アドバイザーである。「官邸主導のBBC改革案」と言ってよいだろう。

ジョンソン政権、そして保守党は本気でBBCを改革、いや正確に言うと「縮小」させようとしているのである。

まずは受信料未払い者の非犯罪化へ

とはいっても、ジョンソン首相が直接BBCの受信料制度を廃止すべきと発言したわけではない。

ただし、昨年12月の総選挙の選挙戦では、「現時点で受信料制度自体をなくそうとは考えていないが、(政権が取れたら)必ず検討するつもりだ」と述べている。有料動画サービスが人気を得るなか、視聴する・しないにかかわらずテレビ番組を受信できるデバイスを持っている世帯から徴収する受信料制度は「時代に合わないのではないか」と。また、受信料不払いを刑事犯罪とみなす仕組みの変更を訴えた。

BBC支持者からすれば、ジョンソン氏の一連の発言はBBCを縮小させたいという意向の表れに見えた。

2月5日、モーガン文化相(当時)は、受信料未払いを刑事訴追の対象から外すべきかどうかについての意見公募を開始した。

現在、BBCの受信料は年間154.50ポンド(約2万2000円)で、未払いが続いた場合、裁判所への出廷が求められるほか、最大1000ポンドの罰金が科せられる。2018年、受信料支払い回避で有罪となった人は12万1000人。平均176ポンドの罰金の支払いを命じられている。

BBCによると、もし未払いが刑事罰ではなく光熱費の未払いのように民事罰の対象となった場合、年間2億ポンドの損失が生じるという。このため、政府による非刑事罰化への意見公募は、BBCにとっては「縮小化を望む圧力の1つ」として映った。

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