「2つの階層」になった現代をうまく生きる方法 ネットが生んだ「自由都市」の歩き方

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デジタル技術の発展とともにどうすれば独自のポジションを築けるのか、山口周氏(左)と尾原和啓氏に話を伺った(撮影:尾形文繁)
およそ2年ぶりに著書『アルゴリズム フェアネス もっと自由に生きるために、ぼくたちが知るべきこと』を刊行した尾原和啓氏と、『武器になる哲学』など多数のベストセラー著書を持つ山口周氏。この特別対談では、テクノロジーがいかに人間を自由にするか、その阻害要因は何か、僕たちは何を「武器」に戦えばいいのか、縦横無尽に語り尽くす。
第1回は、ネットが生み出した現代の「自由都市」について。その中で市民権を得る方法とは。

知の「自由都市」の市民になる条件

山口周(以下、山口):『アルゴリズムフェアネス』を読んで最初に思ったのは、10年以上前に出た梅田望夫さんの『ウェブ時代をゆく』(ちくま新書)と通底しているものがあるなと。

尾原和啓(以下、尾原):さすがですねぇ。梅田さんがその前に書いた『ウェブ進化論』(ちくま新書)は、ネットによって社会・世界が不連続に進化すると看破した。では、それがどう進化するかを論じたのが『ウェブ時代をゆく』。梅田さんがすごいのは、だいたい「ウェブ2.0」という言葉で片付けられた当時、それによって僕たちの人生や自由がどう変わるかまで言及したことですよね。

山口:梅田さんは、当時から今日の2つの状況が見えていたのでしょう。1つはインターネットによって個人がもっと自由になるということ、そしてもう1つは世界が2つのレイヤー(階層)に分かれるということです。

もともと存在するのは、現実の国家とか会社とか土地とか、物理的なレイヤーですね。それとは別に登場したのが、ネット上の架空のレイヤー。それはちょうど、中世末期のヨーロッパに生まれた「自由都市」に似ているかもしれません。つまり封建領主の支配と庇護から脱した人々が集まって作った、自律的なコミュニティーです。

尾原:ただし、誰でも自由都市の市民として認められるわけではなかったんですよね。

山口:そうなんです。条件は、その都市に1年プラス1日滞在すること。お互いにお金やモノや技術などの価値を提供し合う社会なので、これだけの期間を居続けられれば、その人はそのコミュニティーにおいて独自のポジションを築いたと見なされるわけです。逆に提供できない人は退場するしかない。

では、どうすれば独自のポジションを築けるか。それが知識や技術などの「リベラルアーツ」を身に付けることです。ものすごくシンプルに言うと、リベラルアーツとは自由に生きるためのリテラシーという意味なんです。

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