「2つの階層」になった現代をうまく生きる方法

ネットが生んだ「自由都市」の歩き方

尾原:例えばアマゾンの場合、根底にある哲学は「カスタマーオブセッション」。「オブセッション」とは、キツネや悪魔に取り憑かれるとか、強迫観念といった意味です。つまり、「もうユーザーのことしか考えられない」と。「カスタマーファースト」というとセカンドにクライアント、サードに従業員などが意識されますが、それどころではないんです。

その哲学から生まれたのが、カスタマーによるレビューです。当初、出版社などの出品者側は抵抗しましたが、アマゾンは譲らなかった。今でこそ当たり前ですが、これは革命的なサービスだったんです。

ネット時代の勝利の方程式が出来上がった

山口:つまり、パワーシフトが起きたんですよね。僕はかつて広告の仕事をしていましたが、これはある意味でテクノクラートの世界です。広告主の要望に沿って、出す情報・出さない情報をすべてコントロールするわけです。

『アルゴリズム フェアネス もっと自由に生きるために、ぼくたちが知るべきこと』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

しかしカスタマーのレビューは、まったくコントロールできません。莫大な広告費をかけた商品であっても、たった1人のネガティブなレビューで撤退を余儀なくされるおそれもある。個人がそれだけパワーを持つようになったということです。

そのプラットフォームを提供したのがアマゾン。カスタマーにとっては大きな魅力ですが、逆にアマゾン側も、カスタマーがわざわざ時間をかけて情報を書き込んでくれることで、プラットフォームとしての価値を上げている。その結果、流通における軸足はかなりカスタマー側に移った感じがします。

尾原:「カスタマーオブセッション」を追求して、権力が勝手に拡大する構造を作ったところがすごい。ネット時代の勝利の方程式ですね。

いずれにせよ、テクノロジーの進化によって、僕たちは以前とは比べものにならないほど大きな力と機会を持っている。それだけ、より自由に、ハッピーに生きられる可能性が広がったということです。まずはそのことを自覚して、貪欲に知識を吸収し、世の中をもっとポジティブに捉えてもいいと思いますね。

(構成:島田栄昭)

(第2回に続く)

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