宇宙の果てを探求する「精密窯業」の凄み オハラが"伸び縮みしない巨大ガラス"でリベンジ

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これがオハラが誇る窯。増設の計画もある

この色は、熱くなると縮む材料にある金属が混ざっているからで、ゼロ膨張の証だ。低い円柱状の塊にはペンで「東西南北」が記されている。あとで屈折率などの検査をし、窯のどこあたりで偏りが生じるかを確認するための印なのだという。

サイズは直径1670ミリで、厚みは340ミリで、重さはなんと2トンにもなる。ものすごく大きなガラスである。

「これは今、日本で一番大きなガラスの塊です」

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6トンのガラスを横から見るとこんな感じ

日本で一番大きなガラスと言われると、高層ビルの窓ガラスなどをイメージするが、重量としては目の前にある超巨大なベッコウ飴こそが最大なのだ。手触りの滑らかさは普通のガラスと変わらず、強度や加工のしやすさははるかに上回っているという。

このガラスの正式名称は極低膨張ガラスセラミックス。一般的にガラスはダイヤモンドや水晶などとちがい、非晶質なのだが、このガラスの70%は結晶だ。まさに特殊ガラス屋さんの血と汗の結晶なのだ。この塊が切られ削られ磨かれて、TMTに組み込まれる。

落下試験棟もある

製造したガラスの塊を切る現場も見せてもらうことになった。窯のある建物から少し歩く。つくづく、歴史のある会社は敷地が広いと感じる。オハラの創 立は昭和10年で、敷地面積は8万8000平米を超えるという。東京・蒲田で創業したオハラは、終戦の前の年に、ここへ疎開してきたのだ。その広い土地 に、エレベーターの試験棟のようなものが建っている。落下試験棟に違いない。「鋭いですね」と褒められていい気分である。

 切断を待つガラスは、石膏で塗り固められ、台座に固定されていた。包丁で物を切るには空いた手で食材を押さえるが如く、ガラスも動かないようホールドす る必要がある。石膏は、あとから剥がしやすく便利なのだという。なるほど、こうやって切るのか。見れば見るほど、べっこう飴に生クリームが塗りたくられた ように見えてくる。

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