「PB商品」に棚奪われたメーカーの容赦なき逆襲 中小メーカーが大逆転できる「DtoC」の威力

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その後、再生エネルギーを専門とするバイオエンジニアのジョーイ・ズウィリンガー氏とともに創業すると、Allbirdsはさらに飛躍を遂げる。シリコンバレーの著名人らの間でAllbirdsが人気となり、「ITスニーカー」とも呼ばれるようになったのだ。

さらに、この製品の素材に関連して、別のストーリーもある。前述したように。一般的な合成素材のスニーカーとは違い、Allbirdsのスニーカーは、ブラウン氏のこだわりによってウールやヒマシ油といった天然素材が使われている。高い環境基準を満たした製品をつくることで、「環境にもやさしい」というストーリーまでそこに加えたのである。

アメリカではDtoCモデルが一大ブーム

一般的にDtoCは、メーカーが直接、自分たちの商品を消費者に届けるビジネスモデルのことを言うが、アメリカでは、こうしたDtoCモデルが一大ブームとなっている。売上規模として、ECサイトでの販売だけで100億円、200億円と売り上げる事例が相次いでいるのだ。

『2025年、人は「買い物」をしなくなる』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

これらの成功例の共通点は、「SNSを活用しながらネットユーザーを巻き込んでいる」という点である。今の消費者は、リアル店舗での買い物離れが進んでいるし、広告よりもSNSで広がっているものに飛びつきやすい。いったんネット上で人気を得れば、今度はリアルの小売店もその商品を置きたがる。

実際、ネット上にある商品棚でシェアを獲得したメーカーが、リアル店舗の棚も獲得するという「棚取りの逆転現象」も起こっているのだ。

ネットユーザーの市場ニーズを的確に分析し、ネット上でファンをつかめば、大手メーカーでなくても十分に戦える。

こうした事例はそのことを示している。現在では、メーカーが市場ニーズをつかむために、従来の「グループインタビュー調査」ではなく、SNSの投稿や商品レビューなどを分析して商品開発するブランドも徐々に増えてきている。まさにネット上にあるビッグデータを活用した「オンラインブランド」の出現ともいえるが、こうした動きも注目に値する。

リアル店舗での買い物離れが進む時代、「DtoC」はメーカーが消費者を奪い返すためのキーワードになるだろう。

望月 智之 いつも.副社長

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もちづき ともゆき / Tomoyuki Mochizuki

東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつも.を共同創業。同社はコンサルティング会社として、現在までのべ9000社以上の企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国であるアメリカ・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの第一人者として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、ブランド企業に対するデジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。

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