永谷園生姜部が高めるブランド価値《それゆけ!カナモリさん》

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永谷園生姜部が高めるブランド価値《それゆけ!カナモリさん》

 

■お茶漬けの永谷園から生姜の永谷園へ

 2009年の11月17日。首都圏のコンビニエンスストアに一風変わった菓子が並ぶ。『「冷え知らず」さんの生姜のど飴 かりん』、『同 生姜キャラメル チャイ風味』、『同 生姜グミ 梅味』。お茶漬け関連商品で有名な永谷園がもう1本の柱として育ててきた生姜シリーズの最新作だ。現在このシリーズはカップスープやみそ汁、ホット飲料など、16商品を展開している。

売れ行きも好調のようで、少し前のデータになるが、日経ビジネス2008年12月15日号によると、カップスープシリーズの売り上げは「昨年比200%の勢いで、じわりとファン層を広げている」という。

「生姜部」とは、永谷園が生姜という素材を究めるために、社内の部門や職位を超えて多種多様の人材を投入し、専用の試験農場を整備し、さらには消費者を「社外部員」として巻き込んで活動している組織である。2007年12月に発足。生姜を使ったレシピや製品開発を中心に、ブログやYouTubeで発信を続けている。ここではYouTubeにアップされている最新レシピを見てみよう。

 「我々は自分達の手で生姜を育てることから始めて、生姜についての知識と理解を深めていく事を決意いたしました。私たち永谷園は『生姜』に本気で取り組み、新しい価値を提供していく事をここに宣言いたします」

生姜部ホームページには、同社代表取締役専務兼生姜部顧問・永谷泰次郎氏のこんな言葉が掲載されている。

単なる食材としてだけではなく、日本古来からの「冷えた体を温める」という生活の知恵から得た効用を消費者に提供すること。生姜の効用を知る者はいても、それを丹念に製品化して消費者市場に根づかせるのは難しい。新商品のライフサイクルが短い昨今の市場環境を考えれば、企業として、「生姜にコミットする」と“宣言”してしまうのは、大変勇気のいることだ。

生姜部は同社にとって、何にも代え難い価値をもたらす。「永谷園」という企業ブランドを高めてくれるのだ。以下、活動の効果を細かく見てみよう。

 

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