新型肺炎拡大で拭いきれない中国政府への疑念

中国全土が異例の対応に追われる状態が続く

新型コロナウイルスによる肺炎が世界に拡大する中、武漢市では既存の展示場を病院に改造して対応に追われている(写真:新華社/アフロ)

中国湖北省武漢市の衛生当局が「原因不明の肺炎患者」の存在を公表したのは、昨年12月31日のことだった。

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それから1カ月後の1月31日には、新型肺炎の中国全土の感染者は1万1791人、死者が259人となったことを中国の国家衛生健康委員会が発表。さらにその5日後の2月5日には、感染者が2万4000人を超え、死者も490人に達した。

この数の膨らみ方からすると、むしろ中国政府は今まで本当の数値を正確に公表してきたのか、という疑念が浮かぶ。

はたして、中国国民はこの事態をどう受けとめているのか。

封鎖された武漢以外も悲惨な状況

「仕事が欲しい」

旧知の中国人男性に2月3日に連絡をとったところ、切実な言葉が返ってきた。新型コロナウイルスの発生源とされる武漢市のある湖北省の隣、湖南省の省都・長沙市に暮らす30代独身男性だ。

「長沙だけでも約100人、湖南省でも約400人が感染して入院しています」

彼のなりわいとする旅行業は廃業状態。中央政府の指示で、映画館、デパート、麻雀店など人の集まる施設は閉鎖。外に出るにもマスクが必要で、ずっと家にこもってゲームと情報収集をしているという。

でも、その情報もかなり当局によって絞り込まれているのではないか、そう疑いをむけると、「そんなことはない」と彼は言った。

「TikTokを見れば、毎日のように情報や映像が更新されていて、すごくよくわかる」

TikTokとは、中国企業が運営する映像投稿サイトで、日本でも若い女性たちの間で、ダンス映像の投稿がはやった。

「日本でもTikTokのアプリを使えば、中国でどんなことが起きているのか、映像をたくさん見ることができますよ」

情報は国内に限らず、日本政府が武漢からチャーター便で日本人を帰国させていること、その収容施設で1日に、内閣官房の職員が自殺したことも、彼は知っていた。

「私の親戚の子どもが、春節にあわせて武漢から長沙に帰京したのですが、地元当局に申告のうえ、現在2週間の自宅待機を求められています。今年の春節はいつもと違う風景で、街も閑散としていたし、中央政府の指導で休日を延期されたこともあり、やることもなく困っています。でも、封鎖された武漢のほうがはるかにひどい」

国内では、タバコを吸う年寄りの男性が感染しやすい、という真偽不明の情報もまことしやかにささやかれているが、彼自身は感染の心配をしていない、という。

それより、「四川省でマグニチュード5.1の地震が起きたり(2月3日)、福建省で大規模火災が発生したり(1月29日)、今年の中国はどうかしている」

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