新型肺炎「日本で感染拡大」前提の備えはあるか

「封じ込め不能、被害抑制が肝」専門家が警告

日本国内でも警戒感が高まっている(写真:アフロ)

ウイルスなどの感染症の専門家、押谷仁氏(東北大学大学院医学系研究科教授)が、今回の新型コロナウイルス感染について、今月4日、大学HPを通じてメッセージを公表した。

押谷教授は、2002~2003年に中国を中心に起きたSARS(重症急性呼吸器症候群)のときには、WHO西太平洋地域事務局・感染症対策アドバイザーを務め、世界の感染症対策に詳しい。 

押谷教授は、今回のコロナウイルスについて、その特性から「現時点でこのウイルスを封じ込める手段を持っていないということが最大の問題」としたうえで、「対策の目的はいかにして被害を抑えるかということにシフトせざるを得ない」などと危機感を訴えている。

メッセージの中では、今回の新型コロナウイルスは、ウイルス学的にSARSの近縁に当たるものの、疫学的に大きな違いがあると指摘している。

軽症者や無症候性感染者がかなりいる

その理由について以下の2点を挙げる。

① SARSはほとんどの感染者が重症化していたので発症者を見つけることができたが、今回のウイルスは軽症者や無症候性感染者がかなりの割合でいる

② SARSは潜伏期間や発症初期には感染性がなかったが、今回は軽症者や無症候性感染者が周囲に感染を広げているので、その『感染連鎖』を見つけることが難しい

感染の現状について「一定のレベルまで感染が広がってしまうともう感染拡大を抑えることはできなくなる。我々は現時点でこのウイルスを封じ込める手段を持っていないということが最大の問題である」と述べ、「日本でも『見えない』感染連鎖が進行している可能性が現実のものとなりつつある」と警告を発している。

そして「封じ込めが現実的な目的として考えられない以上、対策の目的はいかにして被害を抑えるかということにシフトせざるを得ない」「感染拡大が起こるという前提で国内の医療体制の整備などの対策をそれぞれの地域で早急に考えていく必要がある」と、新型コロナウイルスによる感染拡大は新たなフェーズに入ったとの見方を示し、日本政府に対応を迫っている。

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