東京で夢追うシナリオライター女子の転々生活 いいかげんな訳じゃないけど引っ越しの達人に

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

宇都宮の家にもなかなか帰れず、恋人との関係は徐々に冷え込んでいきました。「いよいよ、また引っ越さないといけないんですよね」とつぶやきました。

「東京で夢を追うのって難しいですよね。でも、東京でないと追えない夢が多すぎる気がします」 

「東京でないと追えない夢が多すぎる気がする」(撮影:川本 史織)

それでもナナイさんが今いちばんやりたいのは、ゲームやアニメのシナリオライターです。

「実は、急に東京で転職が決まったんです」

転職先は、ゲームなどのサブカルコンテンツを扱う商品開発の部門だといいます。

「正直不安しかない」

「今まで、流しの傭兵のようにフリーランスを続けてきたので、ひとつの場所にとどまるということができるのか、正直不安しかないです」

引っ越しはまだ金銭的にもできる状況になく、猫のアンチョビと身ひとつで元彼の家に転がり込みました。

猫のアンチョビと趣味のコレクションのひとつ(撮影:川本 史織)

「引っ越すごとに部屋を作り直すのが大変なので、もう今度こそ最後にならないかな」

「ただ、いつかはシナリオライターとして印税生活がしたいですねえ……」

ご両親はナナイさんが23歳のときに離婚しました。

右脚の手術をする直前に、仕事でベトナム出張に行ったはずの父親が、実は愛人とハワイで旅行していたのが発覚して、母親がついに愛想をつかしたそうです。 

父親は現在行方不明。親戚筋いわくどこかで生きてはいるようです。母親との連絡は絶っています。

「私は母親が苦手なので……。まあわかりますよ。父親があれだからヒステリックになっちゃうのはわかるけど、でも全然連絡はとってない。一緒にいると禿げる。母親と会ってるだけでストレスで10円ハゲができるんですよ。電話番号も住所も知らないし、教えてない。不義理かなとも思うけど、自分の身の安全を考えてそうしてます」

文章に支えられて、文章を書きながらもう一度東京で暮らそうとしているナナイさんの人生。これからは自分のために生きてほしいと心から思いました。

姫乃 たま 地下アイドル、ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ひめの たま / Tama Himeno

1993年2月12日、東京都生まれ。16歳よりフリーランスで始めた地下アイドル活動を経由して、ライブイベントへの出演を中心に、文筆業を営んでいる。音楽ユニット・僕とジョルジュでは、作詞と歌唱を手掛けており、主な音楽作品に『First Order』『僕とジョルジュ』等々、著書に『職業としての地下アイドル』(朝日新書)、『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー)がある。

ウェブサイト ■ http://himenotama.com
Twitter ● https://twitter.com/Himeeeno

 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事