「おやつのサブスク」がママ世代に人気の理由 「スナックミー」が口コミ効果で業界に浸透
三好さんによると、スナックミーはリリースから約1年間、広告を一切打っていなかったのだという。昨年ごろから広告やメディア露出にも力を入れ始めているが、それまではほぼ「口コミ」だけで着実にユーザー数を伸ばし続けてきたそうだ。
「初めは『大手にアイデアをまねされたら終わる』と怯えてひっそりやっていた、というのもあったのですが(笑)。もう1つは、代表の服部が『広告を打たなくても伸びるプロダクトは、最終的にずっと伸びていくはずだ』という考えを持っていて。変にPRをし過ぎると、サービス自体がいいものであるかのように錯覚してしまうリスクもあるので、最初はインスタ投稿だけに注力していました。
それでもサービスを伸ばせてこれたのは、多くのママさんユーザーが、届いたBOXやおやつをインスタやツイッターで投稿してくれたから。SNSの口コミを通じて徐々にユーザーの輪が広がっていった感覚がありましたね」
シェアしたくなるほどの“ワクワク体験”を設計すること
では、スナックミーのユーザーはなぜ自発的に口コミを投稿してくれるのだろう? その理由は、創業当初から大切にしている“ココロを満たすおやつ体験”にあるという。
「僕らは創業時から変わらず、『おやつを通じてワクワクを届けたい』という思いを抱いて、サービス全体を練り上げてきました。
毎月デザインの違うかわいらしいBOXが手元に届き、開けてみたら見た目も楽しくおいしそうなおやつが8種類も入っている。それに、自社開発で味にもこだわったおやつを罪悪感を感じずに食べることができる。おやつの評価を登録したり、リクエストを送ったりすれば次回はもっと素敵なおやつが届くかもしれない……。
そんなふうに、“ワクワク体験”をつなぐことで心を満たすことができたからこそ、ユーザーも自発的に口コミを発信してくれるのだと思います」
サービスのブラッシュアップにおいては、「ユーザー評価が高い部分」にとくに注力したそうだ。
「ファンを増やすために大切なのは、『サービスを評価してくれているユーザーが、そのサービスの中でとくに好きだと感じている部分を伸ばすこと』だと考えているので、比較的満足度の高い方にインタビューをさせていただくなどしながら改善を重ねてきました。だからこそ、日本のママたちの心をくすぐるポイントを抑えることができたのではないでしょうか」
最初はたった3人で始めたスナックミー。現在は社員数17名、エンジニアチームは5名に増えた。社員一丸となって、ユーザーのワクワク感をもっと高められるよう、日々試行錯誤している。とくに、三好さんは「AIの精度をより高めることでもっとワクワクを届けたい」と意気込む。
「AIによるおやつのマッチングについては、たくさんのユーザーから満足の声が寄せられてはいるものの、僕個人としては精度に対する満足度はまだ20%ぐらいなんですよ。
AIの精度を上げることができれば、『自力では気付かなかった“好きなおやつ”』との出会いを提供することができるかもしれないし、1つひとつのおやつだけではなく、8種類のおやつの組み合わせに対する満足度も上げることができるかもしれない。さらに、季節や時期による受発注予測が正確にできれば、余剰在庫を減らすことにもつながります。
テクノロジーで実現できることはまだまだたくさんあるし、それによってユーザーだけでなく、社員やその周辺にいる人の満足度も上げることができるはず。これからもベンチャーマインドを忘れず試行錯誤を重ねながら、より多くの方に『ココロを満たすおやつ体験』を届けていければと思っています」
〔取材・文/石川香苗子 撮影/赤松洋太 編集/河西ことみ(編集部)〕
エンジニアtypeの関連記事
東大卒・物理オリンピック金メダリストの28歳が、自分のキャリアを“損切り”できた理由
デンマーク在住の機械学習エンジニアに聞く“幸福度の高い働き方”のヒント
世界で需要高まる「環境設備エンジニア」の仕事とは? デンマークで働くエンジニアに聞く
家入一真が絶賛するCAMPFIRE26歳CTOの横顔
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら