「フェイクニュース」との正しい付き合い方 BBC責任者が語る虚偽情報被害の深刻な実態
――なぜ公共放送であるBBCがイギリス以外の地域でもフェイクニュース対策を行うのでしょうか。
BBCは42の言語で放送しており、その国々のニュースをチェックできる規模と能力を持っている。そのため、世界でもリーダー的な役割を果たすことができるからだ。ただ、すべてに対応できるわけではない。NHKを含むグローバルな公共放送の団体があり、そこでフェイクニュースについても議論し、多様な報道機関と連携している。
BBCはフェイクニュース対策として、世界中のフェイクニュースを集めて「Beyond Fake News」として公開している。また、BBCは報道されている事実が正しいのかどうか確認する「リアリティーチェック(ファクトチェック)」を行っている。(11月20日に行われた)イギリス総選挙の候補者間のテレビ討論でも、話している内容などで非常に多くのリアリティーチェックが行われた。
私はイギリスに在住しているため、日本について詳しくは把握できていない。ただ、1つ言えることは、日本よりもフェイクニュースの被害が深刻な国や地域が世界にあることだ。とくに、インドやアフリカ地域などは大きな問題を抱えている。ただ、日本は問題ないということではないだろう。
フェイクニュースはなぜ作られるのか
――「フェイクニュース」と断定しても、それを信じない人たちもいますよね。そうしたことはどう考えていますか。
まず、BBCはほとんどの話題に関して検証可能な事実があると考えている。そして、BBCのような組織が、事実であるか事実でないかを伝えることが重要だ。
その一方で、特定の政治家がいい、悪いということは報じない。あくまでも発言したことの真偽について伝えるようにしている。誰がいい人で誰が悪い人なのかといったことは、われわれではなく視聴者が決めるべきだ。
しかし、リアリティーチェックだけでフェイクニュースをなくすことは難しい。そのためBBCでは、学校でメディアリテラシーを高める教育プログラムを行っている。何を信じて、何を信じないのか学ぶ必要がある。
――そもそも、なぜフェイクニュースは作られるのでしょうか。
いくつかの理由があると考えている。1つはお金だ。ページをクリックさせて、金銭を得るためにフェイクニュースを作る人たちがいる。2つ目に政治や社会を不安定化させるためのフェイクニュースだ。国家がそうしたフェイクニュースを生むことを支援しているケースもある。
フェイクニュースの真の脅威は、社会を不安定化させることだ。例えば、「予防接種はするべきではない」や「地球温暖化はうそだ」といった情報を広めることで、社会が不安定になっていく。
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