「フェイクニュース」との正しい付き合い方 BBC責任者が語る虚偽情報被害の深刻な実態

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トランプ大統領の登場後、フェイクニュースが大きく取り上げられるようになった。写真は2020年1月に全米最大の中絶反対デモで演説するトランプ大統領(写真:AP/アフロ)
SNSの普及に伴い、多様な情報が飛び交うようになった。その中には真実もあれば、うそもある。そんなうそのニュースを指す「フェイクニュース」は大きな問題となっている。
フェイクニュースが問題として大きく取り上げられるようになったきっかけが、トランプ大統領が誕生した2016年のアメリカ大統領選挙だ。アメリカのフェイスブックで大量のフェイクニュースが拡散され、トランプ氏に有利に働いたとされる。ロシアがアメリカの有権者に向けてフェイクニュースを拡散し、選挙に干渉したという疑惑も浮上した。2020年はトランプ氏の再選をかけた大統領選が行われる。
勢いが衰えないフェイクニュースにメディアはどのように対応していくのか。そんな中、イギリスの公共放送であるBBCは、世界中のフェイクニュースに関する情報や分析を集める「Beyond Fake News」というプロジェクトを立ち上げ、フェイクニュース対策で世界を先導している。
このほど来日したBBCグローバルニュースの責任者であるジェイミー・アンガス氏に、フェイクニュース問題について話を聞いた。

予防接種を思いとどまらせる虚偽情報

――現在、世界が注目しているフェイクニュースは何でしょうか。

世界中でワクチンに関する問題が大きくなってきている。多くの地域でさまざまな理由がつけられ、子どもたちに予防接種をするべきではないという情報が流れている。子どもたちが危険にさらされていると言える。

私たちの報道はこうした問題について世界的な注目を集めるうえで重要な役割を担っている。BBCでは予防接種に関する情報をまとめ、適切な情報を提供している。

――日本でも子宮頸がんワクチンについての問題が大きくなっています。こうした問題は、ワクチンを接種させない親などが孤立化してしまう可能性もあります。

私たちは予防接種に不安がある親を攻撃したいわけではない。ただ、予防接種を思いとどまらせるような虚偽の情報は問題だ。BBCは事実に基づいた意思決定をサポートする役割を担っているだけだ。そのため、最終的に子どもの予防接種については両親たちが選択する必要がある。一方で、正しい事実に基づいて選択してほしいとも考えている。

われわれはそうした情報をイギリスだけではなく、世界中に発信している。フェイクニュースというと、トランプ大統領のような政治的な議題が登場しがちだが、ワクチンのように人の命に関わる問題でもあることを知ってほしい。

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