動いたメルペイ、オリガミ吸収でも続く苦境 体力勝負に限界、スマホ決済は「弱者淘汰」へ

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メルカリの山田進太郎社長は2019年12月の東洋経済のインタビューに「これ(LINEペイとの提携見直し)がメルカリの戦略の根幹を揺るがすことはない」と話したが、単独で利用者や加盟店を開拓し続けるには限界がある。やはりヤフー・LINE連合に対抗する手だての必要性は感じていたはずだ。

小売店舗の店頭では決済手段が乱立気味になっている(記者撮影)

メルペイ、オリガミの両社は今後、利用者への一定の周知期間を置いた後、メルペイへサービスを統合する予定だ。キャンペーンやテレビCMの費用を1つのブランドに集中投下できるようになるメリットは大きい。オリガミはこれまで、各地の信用金庫との関係構築を進めており、このネットワークは、今後加盟店獲得の本丸となってくる地方や中小の商店を取り込むのに役立つだろう。

弱者連合に勝機はあるのか

新たな一歩を踏み出すメルペイとオリガミだが、今回の統合発表について「弱者連合」と言ってはばからない業界関係者も少なくない。

MMD研究所が1月に発表した「QRコード決済の利用経験」に関する調査によれば、利用率のトップはペイペイで61%、LINEペイは28.7%だった。対するメルペイは16.3%、オリガミペイに至っては4.7%と、統合したところで力の差は歴然としている。

メルペイは今後、メルペイを使って購入した商品の情報をメルカリアプリに「持ち物一覧」として反映するなどの機能拡充を予定している。出品しやすい環境を作り、フリマとの相互送客を推進できるかが、生き残りのカギを握りそうだ。

メルペイよりさらに利用者の少ない”弱者”がどう動くかも焦点だ。前出のMMD研究所の調査では、10位以下の利用率はすべて2%に満たない。みずほフィナンシャルグループが2019年3月から提供を開始したJコインペイは0.7%に過ぎない。今後は複数プレーヤー同士で手を組んだ加盟店・利用者開拓はもちろん、思い切ったブランドの統廃合も早晩進むとみられる。

キャッシュレスへの機運が高まり、クレジットカードや電子マネーに次ぐ「普段使いツール」として地位を高めてきたスマホ決済。だが、いくら人々の日常に浸透したとしても、利用者が選ぶメインの決済手段はせいぜい2つ程度だろう。

その枠を勝ち取れないサービスは、今回のオリガミのように「ブランド消滅」の運命を免れない。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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