日本人の「仏壇離れ」が招いた意外すぎる副作用 手土産を仏壇にすぐ置くのはマナー違反?

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数年前より「仏壇ジマイ」なる新語も登場しました。仏壇を処分する一連の流れを指す新語ですが、「処分」という言葉より「しまい」のほうがスマートなイメージなのでしょう。

とくに昨年は「仏壇ジマイ」という言葉を積極的に使用する仏壇店も増えました。仏壇店といえば仏壇の販売をすることが生業なのでしょうが、「仏壇ジマイ」、つまり処分の仕方を丁寧に解説するページを設けているホームページが心なしか目立ってきたのも時代の流れなのかもしれません。

私たちは、特定の宗派の信仰がなくても、先祖供養として仏壇の前に座り、故人の面影が写真や位牌と重なり、対面するということを感覚的に行っているものです。

親から子、子から孫へと、そうした考えが伝えられ、日々仏壇にお供えをし、そのお下がりを家族がいただく、という日課が続いている家ならば、少なからず先祖を意識する機会があるでしょう。

お供えの前に、まずはひと言を

日本では、古くから祖霊や新仏に米や水をお供えする習俗が各地で見られました。崇拝対象に供物を捧げ、それを共にいただく共同飲食(きょうどうおんじき)、共食という考え方は世界中にあり、また動物供犠(動物を神霊に供えること)や供物が死者を養うと考える思想も広くあります。お供えをするという行為は、感謝や敬意を目に見える形として生み出された表現方法なのではないでしょうか。

ただ、仏壇のない家が増えている中で、いただき物を仏壇へお供えするという行為そのものを不思議に思い「手土産を仏壇にお供えされて不愉快」という人もいるでしょう。これからは、いただく側が「まずは仏壇へお供えさせていただきます」と、ひと言添える配慮が必要なのかもしれません。すぐに開封が必要なものであれば「要冷蔵なので、早めに冷蔵庫へ」など理由を説明することで双方が納得できるはずです。

仏壇に向かったところで明確な答えを得られるわけでもなく、合理的ではないと排除してしまいがちな慣習ではありますが、先祖を敬う、年長者を敬う実践の場として、「供物のお下がりをいただく」という考え方はどこかに残していきたいものです。

吉川 美津子 社会福祉士

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きっかわ みつこ / Mitsuko Kikkawa

葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタント。(一社)供養コンシェルジュ協会理事、(一社)葬送儀礼マナー普及協会理事。駿台トラベル&ホテル専門学校、上智社会福祉専門学校非常勤講師。大手葬祭業者、仏壇・墓石販売業者勤務を経て独立。コンサルティング業務のほか、葬送・終活関連の人材育成に携わっている。また福祉職として、介護・福祉と葬送・供養をつなぐ活動を行っている。『葬儀業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』『お墓の大問題』『死後離婚』等著書多数。「吉川美津子のくらサポラジオ」(レインボータウンFM)毎週日曜日放送中。

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