ノブコブ徳井「副業で稼ぐ芸人が激増した理由」 僕らの人生はダウンタウンに変えられた
「芸人を続けていて、俺なんかは『何ができるんだ』って考えるんです。しかも、俺たちはネタで笑いを取るようなタイプでもない、言わばタレント芸人。
誰かを喜ばせるとか、誰かが困っている場面で、漫才師、モノマネや歌がうまい芸達者な人、楽器を弾ける人などに比べると、『実は何の役にも立たないんじゃないのか』って。もっと根本的な原動力として役に立つことはできないかなって考えたとき、重機を扱える人だったら、何かの役に立てるだろうって思ったんですよね」
芸能界は新陳代謝もポジション争いも激しい。「武器を増やすことで、自分の付加価値を高めるといった感覚とは違う?」と尋ねると、「本業だけで食っていけない芸人は、計画性もあるでしょうね」と前置きしたうえで、「俺たちの世代が本業であるお笑い以外にも関心を持つのは、武器がほしいといった副業的な観点とは異なる別の理由からだと思います」と分析する。
みんなダウンタウンに人生を変えられた
その理由を語る前に、まずミレニアム組の価値観を、徳井は次のように語る。
「俺たちの世代は、ダウンタウンさんを筆頭に大物芸人って、むちゃくちゃカッコいい存在の筆頭格であり、憧れの対象として確立されていた。芸人に魅せられたことで、本来だったら立ち寄る必要のない寄り道をした人もいるんじゃないのかなと思うんですよ。
西野であればそのまま実業家になっていたかもしれないし、又吉君であれば作家を目指していたかもしれない。でも、あまりに芸人という存在がカッコよかったから、吸い寄せられるように芸人を経由してしまった」
確かに、あの頃のテレビの中のダウンタウンは、ギラギラしていて憧れそのものだった。ザ・ブルーハーツに憧れてバンドを始めるように、ダウンタウンを見てお笑いを志すことは珍しいことではなかった。
「2000年デビュー組は、そのど真ん中世代。衝動に駆られて芸人を目指しただけで、他の分野でも成功したかもしれない人が、芸人になってしまって、お笑いでも結果を出したのではないかと思うんですよ。だから、副業というよりも、その人の本質的なものや人間的なもの……又吉君で言えば作家性みたいなものが、ごくごく自然に表舞台へとにじみ出しているだけだと思う」
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