素人がプログラミングに挑んでみて見えた境地

最初に挫折しやすい壁を越えるコツはどこに

学習中はとにかく疑問が無限に湧いた。写真を中央に配置するにはどうするか、指示の順序はどう書けばいいのか――。言われたとおりにコードを書いても、思うように動かない。もちろんスクールで基本的な方法は教わるが、週1度の授業ではとてもすべての疑問を解消できない。平日の仕事後、毎晩終電までカフェにこもり、課題提出のためにコードを叩いた。しかしエラーは解消せず、原因がわからない。冒頭に記したような真っ暗なトンネルの中でもがく日々が続いた。

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ある日、ため息をつきながら帰りの電車に乗ると、スマホのアプリをいじる乗客の姿に目が留まった。頭をよぎったのは、その裏側にある大量の複雑な文字列だった。コンピューターに正しい文字列さえ打ち込めば、これほど複雑なアプリも作れる。そう思うと同時に、それは自分がいる場所とは別世界の出来事のように感じた。

当時、プログラミング経験者の多くから言われたのは、「わからないときはググれ」ということだ。そもそもプログラミングの世界は進化のスピードがすさまじく速い。コードの書き方もどんどん変わる。したがって、「わからないことをすべて人から教わる」姿勢ではとても身に付かない。一生かけて学び、調べ続ける「自走力」が求められると経験者は一様に口にした。

ただ初心者にとってはその「ググり方」が難しい。確かにインターネット上には、多くのコードの書き方が紹介されている。しかし、そのほとんどは「理解している人」が書いており、初心者にはなじみのない用語が多く交じる。各々の用語や概念には膨大な周辺情報があり、どこまでググっても「全体像」を理解できないのだ。部分部分の「正解」をいくらインプットしても、自分が望む作品のコードの書き方、つまり「個別解」がわからない――。私が最初に直面したプログラミングの難しさは、この一言に尽きる。

エンジニアを質問攻めにしたい

上記のような難しさは、私だけが感じたものではなさそうだ。あるオンラインスクールの幹部は、初心者が挫折しやすいポイントについて、「学習の序盤で疑問が山のように湧き、ググってもわからずに行き詰まる人が多い」と教えてくれた。無限に湧く疑問を、何とかその都度解消したい。エンジニアをいつでも質問攻めにできる環境はないか――。そう考え、探したが、そうしたサービスを売りにするスクールは少なかった。

「とくに対面型のスクールのほとんどは、学習の“方法”を教えるのが主で、細かいコードの書き方までは教えない」(別のスクール関係者)。そこには業界の構造的な事情があるという。「今はエンジニアが不足しており、報酬も高額。なので(いつでも質問できるような)労働集約的なビジネスは成り立たない」(同)。

初心者に人気のオンライン講座「Progate(プロゲート)」も2016年夏、エンジニアにいつでも相談や質問できる「プレミアム会員プラン」を導入したが、リソース不足を理由にプランを停止した経緯がある。いつでも質問できる環境が不足していることが、初心者がプログラミング学習を挫折しやすい一因――。これは業界の構造的な課題なのである。

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