日本が関与「インドネシア石炭火力」に重大事態

チレボン2号機案件で「贈収賄疑惑」が浮上

金融機関も、国際協力銀行(JBIC)や三菱UFJ、みずほ、三井住友の3メガ銀行がCEPR社に協調融資をしており、同融資には政府系の日本貿易保険(NEXI)が保険を供与している。さらに、三菱日立パワーシステムズがボイラーや排煙脱硫装置を、東芝が蒸気タービン発電機を納入する契約を結んでいる。

なお、チレボン2号機が発電した電力は、25年にわたってインドネシア国有電力会社(PLN)が購入する。

このように、チレボン2号機は日本の官民が進めている「インフラ輸出戦略」の象徴的な案件であり、総事業費は20億ドルを上回る大規模プロジェクトだ。1月15日時点でCEPR社関係者の逮捕者は出ていないが、CEPR社のインドネシア人の元社長ら元幹部2人に対し、捜査のためインドネシア国外への渡航禁止措置が取られている。

贈収賄行為は確認されていないというが・・・

JBICがホームページで開示している「汚職防止への取り組み」によれば、「輸出企業が不正競争防止法の贈賄に関する規定に違反した疑いがあるとして起訴された場合等には、通常よりも厳格なデューデリジェンスを実施するなどの適切な措置を取る」と書かれている。贈賄への関与が判明した場合は、貸し出し停止や融資実行残高の取り消しなど適切に対応するとしている。

JBICの汚職防止への取り組みの記載は輸出金融に関するもので、CEPR社のようなプロジェクトファイナンスの対象先についての取り扱いの記載はない。ただし、事の重大性に鑑みても何らかの対応が必要になる可能性もある。

2019年10月、ジャカルタの汚職撲滅委員会前での現地住民を支援するNGOのアピール。委員会による徹底調査を求めた(写真:インドネシア環境フォーラム)

JBICや3メガ銀行は「個別取引の内容にかかわる質問については、回答を差し控える」などと回答。不正の有無の調査について、JBICでは「インドネシア当局による捜査の状況を注視しつつ、適切に対応してまいりたい」としている。

丸紅やJERAは一連の贈収賄疑惑に関して「報道の内容は承知している」としつつ、「事業会社において外部弁護士を起用して調査を進めているが、現時点で贈賄不正行為の事実は確認されていない」(丸紅)と回答。JERAも「現時点で不正の事実は認められていないとの報告を受けている」と答えている。

CEPR社では元社長を含む経営幹部が交代しているが、疑惑が持ち上がっていることとは「関係ない」(丸紅)という。そのうえで、丸紅は「現時点で事業計画を変更するつもりはない」としている。

【2020年1月16日18時44分追記】初出時のCEPR社元社長に関する記述を上記のように修正いたします。

しかし、前出の判決文で、チレボン2号機に関連して不透明な資金が前知事側に渡っていると記述された事実は重い。建設工事はその後も続けられており、事業によって立ち退きを迫られた住民や支援する市民団体などが抗議の声をあげている。2019年12月にスペインで開催されたCOP25(国連気候変動枠組条約第25回締約国会議)の会場でも、チレボンなどの石炭火力発電事業はNGOなどから温室効果ガスを大量に排出する存在だとして批判を浴びている。

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