「本当にいい組織」ほど基本に忠実という事実 分業しつつも分断されてないのが良い組織

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秦:僕は23歳からコンサルティングの仕事をしているので、信じてもらえないかもしれませんが、お店や会社に行けば、売上や利益の額がなんとなくわかるんです。そして、今うまくいっているのか、儲かっているのか、今後もうまくいくのか、それともうまくいかないのかも、大体わかります。これも信じてもらえないかもしれませんが、数年後の結果を見ると、大体当たっています。

それは何を見ているのかというと、「働いている方々の表情」なんです。

『奇跡の組織 「最高の働き方」を導き出すセムコスタイル5つの原則』(光文社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

楠木:それは私も非常によくわかります。われわれのように、1つの会社だけで仕事するわけではなく、多くの会社を見る立場の人間にとっては、そこで働いている方々の「顔」というのは非常によく見えるんですね。

秦:とくに、上司の方と一緒にいるときの顔と、そこから離れたときの顔のギャップを見たときに、その会社の仕事が本質的に見えてくるというか。

楠木:それは本当に共感できます。ただね、顔や表情っていうのは結果として表れているのであって、こういうことを言うとまた、「笑顔トレーニングだ!」なんてことが始まっちゃうかもしれない(笑)。そして顔を撮影して、AIで笑顔分析なんかを始めるアプリが生まれたり。そうなるとまた、本末転倒なんですよね。

そういう意味で、改めてこのセムコスタイルという考え方を、何が目的で何が手段なのかという視点で見ていただくと、非常に得られるものが多いのではないかと思います。

「当たり前の事を当たり前にやる」

秦:あくまで、“知性“を集めたいだけなんです。「うちの商品、本当はお客様から評判がよくないんだけど言えない」ということが普通に言えたり、「同期のアイツが辞めたいって相談を受けているんだけど、これは人事部に言えない」ということが言えるようになる。その情報を活かして、お客様や働き方に新しい価値を見いだしていくというサイクルが、結果として表情に表れて、いい組織になっていくんです。

楠木:そうなんですよね。セムコスタイルに書かれていることって、特別なことは書かれてないんですよね。言わば、「当たり前の事を当たり前にやる」ということ。それが、「奇跡の組織」のカギになっていると思います。

(構成:高森勇旗)

楠木 建 一橋ビジネススクール特任教授

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くすのき けん / Ken Kusunoki

1964年東京都生まれ。1992年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学商学部助教授および同イノベーション研究センター助教授などを経て、2010年より一橋ビジネススクール教授。2023年から現職。専攻は競争戦略とイノベーション。著書に『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)、『絶対悲観主義』(講談社+α新書)のほか、近著に『経営読書記録(表・裏)』(日本経済新聞出版)などがある。

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秦 卓民 ENERGIZE代表取締役

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はた たくみ / Takumi Hata

1979年東京生まれ。ENERGIZEは、スポーツ選手、企業経営者、経営幹部チームへのコーチング、新規事業開発コンサルティング、新卒採用コンサルティグなど、個人や企業のパフォーマンスアップをサポートできる数少ない総合コンサルティング会社で、顧客には、リンクアンドモチベーション、Plan・Do・See、サニーサイドアップなど多数。またセムコスタイル・インスティテュート・ジャパンは、セムコ社のCEOであるリカルド・セムラー自らが出資したコンサルティング会社「セムコスタイル・インスティテュート」とライセンス契約を結び、日本で独占的にセムコスタイルのコンサルタントをできる権利を有する。

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