「本当にいい組織」ほど基本に忠実という事実 分業しつつも分断されてないのが良い組織
秦:僕は23歳からコンサルティングの仕事をしているので、信じてもらえないかもしれませんが、お店や会社に行けば、売上や利益の額がなんとなくわかるんです。そして、今うまくいっているのか、儲かっているのか、今後もうまくいくのか、それともうまくいかないのかも、大体わかります。これも信じてもらえないかもしれませんが、数年後の結果を見ると、大体当たっています。
それは何を見ているのかというと、「働いている方々の表情」なんです。
楠木:それは私も非常によくわかります。われわれのように、1つの会社だけで仕事するわけではなく、多くの会社を見る立場の人間にとっては、そこで働いている方々の「顔」というのは非常によく見えるんですね。
秦:とくに、上司の方と一緒にいるときの顔と、そこから離れたときの顔のギャップを見たときに、その会社の仕事が本質的に見えてくるというか。
楠木:それは本当に共感できます。ただね、顔や表情っていうのは結果として表れているのであって、こういうことを言うとまた、「笑顔トレーニングだ!」なんてことが始まっちゃうかもしれない(笑)。そして顔を撮影して、AIで笑顔分析なんかを始めるアプリが生まれたり。そうなるとまた、本末転倒なんですよね。
そういう意味で、改めてこのセムコスタイルという考え方を、何が目的で何が手段なのかという視点で見ていただくと、非常に得られるものが多いのではないかと思います。
「当たり前の事を当たり前にやる」
秦:あくまで、“知性“を集めたいだけなんです。「うちの商品、本当はお客様から評判がよくないんだけど言えない」ということが普通に言えたり、「同期のアイツが辞めたいって相談を受けているんだけど、これは人事部に言えない」ということが言えるようになる。その情報を活かして、お客様や働き方に新しい価値を見いだしていくというサイクルが、結果として表情に表れて、いい組織になっていくんです。
楠木:そうなんですよね。セムコスタイルに書かれていることって、特別なことは書かれてないんですよね。言わば、「当たり前の事を当たり前にやる」ということ。それが、「奇跡の組織」のカギになっていると思います。
(構成:高森勇旗)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら