いすゞとボルボ、「電撃提携」に込められた意図 ボルボ傘下のUDトラックスを2500億円で買収
では、そのUDをいすゞが買うメリットはどこにあるのか――。同社が期待するのが大型トラック事業の強化だ。
いすゞは国内外とも中小型の「エルフ」が販売台数の多くを占め、大型の強化が以前からの課題。成長を左右する東南アジアなどで大型トラックの販売台数を伸ばすには、もっとコストを下げ、価格競争力を高めることが不可欠だ。
「UDのブランド自体は残すが、当社とUDが大きな車型を共通化すれば、開発費や生産コストの大幅な削減が可能。それができたら、(価格競争力がついて)アジア市場でも必ず販売増につながる」と片山社長は期待を込める。
提携とUD買収はあくまでセット
今回のUD買収は、ボルボとの提携関係が大前提だった。UDはあくまでボルボの1事業であり、ボルボ本体の支援の下で大型トラックの開発・生産を行っている。その後ろ盾がなくなった瞬間に、UDは商用車メーカーとしての競争力を失う。したがって、ボルボの協力とセットでなければ、いすゞがUDを買うメリットは乏しいのだ。
「今回の戦略提携がなかったら、UDの件は考えなかった。当社とボルボの距離が縮まったからこそ出てきた話。UDを介して、2社が(大型で)力を合わせる。そういうことだとご理解いただきたい」」。片山社長はこんな表現で提携と買収の関係を説明した。
トラック業界も直面する大変革期に生き残りをかけ、同じ商用車メーカーの欧州ボルボと手を組む日本のいすゞ。今回の戦略提携によって、果たして、「CASE対応」と「大型トラック事業の強化」という2つの大きな成果を得ることはできるか。
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