いすゞとボルボ、「電撃提携」に込められた意図 ボルボ傘下のUDトラックスを2500億円で買収
こうした中で、動向が注目されていたのが、いすゞだった。同社はかつてアメリカのゼネラル・モーターズやトヨタと資本・業務提携したが、すでにいずれも関係を解消。CASE時代到来に本格的に対応すべく、同じ商用車メーカーとの新たな戦略提携を模索していた。
いすゞは中小型が強く、地域的には日本と東南アジアでの販売が大半。一方、ボルボは大型が中心で、地元欧州と北米市場が大きな地盤だ。得意とする市場とサイズが異なるため、直接の競合が少なく、「2社は非常に相性がいい」(ボルボのマーティン・ルンドステットCEO)。
片山社長によると、両社は1年前から提携に向けた具体的な協議を開始。協業領域の議論を重ねる中で、包括提携の一環として、UD事業をいすゞに移管する話が出てきたのだという。
ボルボが手放し、いすゞが買う理由
そもそも、ボルボがUDを傘下に収めたのは、日本・アジアでの事業拡大が狙いだった。しかし、その期待に反して、買収後のUDは経営不振が続く。ボルボ主導で工場閉鎖や人員削減、さらに大型以外は他社からのOEM調達に切り替えるなど合理化を進めたが、UDの2018年12月期の単独業績は売上高2565億円、営業利益はわずか11億円だ。
また、UDは同期末時点で700億円近い累積損失を抱え、自己資本が100億円に満たないなど財務状況も厳しい。ボルボがそうしたUDを傘下に抱え続ける意義は薄れていた。売却で2500億円のキャッシュが入るなら、ボルボとしてはむしろ御の字だろう。
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