日本の政権首脳が「トランプ再選」を熱望する訳 米大統領選の予測はそんなに簡単ではない

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最後に、外国による選挙介入という影響を測ることが難しい選挙要因がある。アメリカ政府の情報機関は、2016年の大統領選挙におけるロシア政府の介入がトランプにとって有利に働き、ヒラリー・クリントンに不利に働いたと結論づけている。

一部のジャーナリストや学者によると、ロシアによるこの介入がトランプ勝利の決め手になった。そうであれば、アメリカ国民以外(ロシアを含む外国)が、2020年も同様の介入を繰り返そうとする可能性が高い。アメリカがどこまでそうした介入を防げるかは不透明だ。

日本のリーダーたちはトランプを支持

昨年11月22~24日にかけてギャラップと読売新聞社が行った世論調査によると、日本人の76%が「トランプ大統領が2020年に再選されることはよくない」と回答している。トランプは同盟国によって、信頼できず、予測できず、利己的な「アメリカ第一主義」政策を追求していると見られており、この結果はアメリカのほかの同盟国で行われた世論調査の結果と一致する。

しかし、多くの日本人リーダーたちはトランプの再選を支持しているように見える。彼らは、トランプは、2016年の大統領選挙戦で公言していたほどには、日米関係を悪化させようとはしていないと見ている。そして、安倍晋三首相がトランプとの絆を深め、彼の信頼を得ることに(ロシアのウラジーミル・プーチン大統領同様に)最も成功した世界のリーダーだと考えている。

したがって安倍首相は、1980年代前半の中曽根康弘元首相とロナルド・レーガン元大統領や、2000年代前半の小泉純一郎元首相とジョージ・W・ブッシュ元大統領のようにトランプにうまく「対応している」という高い評価を得ている。

この絆の構築にはこれまで、安倍首相の側に相当の忍耐、エネルギー、そして努力を必要とした。しかし、これも(少なくとも今のところは)成果を挙げたようだ。

例えば、トランプは日本のアルミニウムと鉄鋼の輸出に関税を課し、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)から離脱したことでアメリカが失った分(とくにアメリカ産の農産物の関税引き下げ)を、米国通商代表のロバート・ライトハイザーに交渉させた2国間協定によって、日本に譲歩させ回復したが、トランプが日本に「厳しくする」と公言したほどには強い行動には出ていない。

もちろん、トランプが国家安全保障を理由に1962年通商拡大法232条を適用してアメリカへの日本車輸出に関税を課すことになればこれが急変する。また、伝えるところによればトランプ政権は日本に対し、在日米軍の駐留経費負担を20億ドルから80億ドルへと4倍に増やすことを要求しているという。

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