2020年にブレイクしそうな企業はどこなのか? 『会社四季報』で読み解く2020年の企業業績

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――時代の節目となりそうな2020年、とくに注目している業界について伺います。

山本:2020年は3月から5Gの商用化が始まりますが、総務省の統計によると、その経済効果は2020年代で46.8兆円にも上るとされています。関連する企業は需要の取り込みを急いでいるところですが、具体的にまず予想できるのは、インフラを整備しなければいけないということで、通信基地局で通信工事を手掛ける企業などでしょう。

また、5Gは周波数が高くて電気も食うので、新たな素材、新たな部品も必要になってきます。そこで、先端技術材料にも注目しています。

例えば、日東紡という企業。こちらは、グラスファイバー(ガラス繊維)の大手ですが、大容量高速通信の基板用スペシャルグラスの需要が盛り上がっています。また、日本電産という企業もあります。5Gの通信機器は、消費電力が大きくて発熱しやすいことから、通信機器向けの冷却装置の開発を進めています。このように、多岐にわたって需要が盛り上がっていくことが考えられます。

――5Gが関連企業に与えるインパクトは大きそうですね。

北野:2020年代で46.8兆円、つまり1年間でも5兆円くらいの経済効果があるということですが、実際の企業業績でもそのくらいの効果があると実感されますか。

山本:はい。『会社四季報』は、国内の上場企業3762社すべてについて、記者が今期だけでなく来期についても取材をしています。2020年3月期については、全業界で減益と言いましたが、実は2021年3月期に目を転じると、全業種で増益予想となっているんです。全業界で8.6%の営業増益です。

5Gに関わる半導体、電子部品というのがまず盛り上がってくることが予想されますが、ほかにも、2020年3月期は9.3%の営業減益だった電気機器の業界も、2021年3月期は一転、12.7%の営業増益が予想されています。

東京五輪・パラリンピック関連は…

――いよいよ夏には東京五輪・パラリンピックも開かれますね。

山本:東京五輪・パラリンピック関連は、これまでは会場設営なども含めた建設業界の特需という形で出ていましたが、それ以外でも取材して面白いなと思った会社がありました。セレスポという会社で、この社名はセレモニーとスポーツを合わせたものだそうです。

子会社で企業の運動会をサポートする「運動会ドットコム」というサイトを運営するなど、スポーツイベントに特化した会社です。昨秋にはラグビーW杯でも運営を受託していた実績があり、2021年3月期には業績が大きく伸びると予想されています。五輪関連の案件が増えるそうです。

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