2020年にブレイクしそうな企業はどこなのか? 『会社四季報』で読み解く2020年の企業業績

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――一方で心配されるのは、建設関連の需要が大きく落ち込むのではないかと言われていますがどうなのでしょうか。

山本:建設関連については、五輪特需が剥がれるのは当然なのですが、意外にも五輪が終わったからといって大型案件の引き合いが減るわけではないようです。その理由の1つが再開発。東京でも大阪でも地方の都市圏でも再開発案件はまだまだ控えています。五輪の建設需要があるうちは、人も足りない、資材も高騰していることから控えていた動きが、五輪が終わっていよいよ出てくるという楽観的な見方がされています。

――2020年は経済の1つの節目になると考えられますね。

北野:2018年頃まで建設業界はグロース株(成長株)といってもおかしくない値動きをしてきたんです。それが、2019年になると様変わりして、景気敏感株ともいえるくらい冴えない動きになりました。今のお話を伺っていると、その建設株の底入れ期待を抱かされました。

2020年に注目している企業は?

山本:ユニークな特色を持っていて、かつ業績も好調ということで、2020年に注目したいと思っているのは、アイ・アールジャパン ホールディングスという会社です。この会社では、上場企業の株主を調査する「株主判明調査」というのを行っているのですが、最近業績が好調です。それはなぜかというと、今までの調査の知見を生かして、アクティビスト(物言う株主)の対策コンサルティングに引き合いがあるそうです。

今、日本の市場ではアクティビストが急激に増えているようです。あるデータによれば、2014年には7社しかなかったのですが、直近では33社に増えていました。アメリカはこうした対策が厳しくなってきたようですが、日本ではまだまだ対応が甘いということで、狙われているのでしょう。こうした背景から、このような会社が頼りにされているようです。業績も2020年3月期は、売上高37%増、営業利益も88%増と過去最高を達成する見通しです。

北野:失われた20年から抜け出しつつある日本というテーマでお話ししましたが、山本さんから2021年3月期は増益になるということを伺って安心しました。

山本:『会社四季報』は取材ベースで企業を定点観測しています。普段注目されないようなところも含めて、私のほうで気づいた点をこれからもお伝えしていきたいと感じました。あわせて、北野さんからの大きな視点でのお話も非常に参考になりました。

東洋経済 会社四季報センター
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