45人殺傷「植松被告」に見る大量殺人犯の共通点 1月8日初公判、障害者19人殺害犯は何を語るか

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造田死刑囚は事件と前後して、友人に向けた手紙の中でこう書いている。

〈造田博教を作りました。造作博教に入りたい気持ちのある人は、造田博教に入れます。造田博教はどこでも宣教します。宇宙に出ても宣教します。どこでも宣教します。〉

私(つまり筆者)はこの「造田博教」について教えてほしいと彼に手紙を書いた。その詳細については拙著『池袋通り魔との往復書簡』に譲るが、彼は死刑が求刑されたあとの筆者宛への手紙の中でこう書いている。

〈私は求刑で死刑になりましたけど、今の日本や世界の社会の状況で私が死刑なんてないと思います。検察官が平気で私に死刑の求刑だすのだったらキリスト教徒の人達や他の人にも同じように刑を出すし、外国政府もキリスト教徒の人達も他の人もみんなカンカンになっていると思います。〉

不幸を作ることしかできなかったのは植松被告自身

植松被告は退職後の措置入院中、担当医に「ヒトラーの思想が降りてきた」と語っていたという。いわば優生思想だ。

これが過激イスラム思想となれば、テロにも繋がる。それどころか、植松被告の手紙からすれば、もはや日本を救うような革命家を気取っている。

植松被告の弁護側は薬物性精神障害による心神喪失を主張するが、そもそも、事前に結束バンドと刃物を準備し、裏口からハンマーでガラスを割って侵入しているのだ。心神喪失の人間にそんな計画的なことはできない。

同被告は衆議院議長に宛てた手紙の中で、「障害者は不幸を作ることしかできません」と語っているが、今回の事件で不幸を作ることしかできなかったのは、ほかならない自分自身であること、それは強い者が弱い者をいじめる卑怯な行いであること、そのことが十分に自覚できる機会があってほしいと切に願う。

青沼 陽一郎 作家・ジャーナリスト

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あおぬま よういちろう / Yoichiro Aonuma

1968年長野県生まれ。早稲田大学卒業。テレビ報道、番組制作の現場にかかわったのち、独立。犯罪事件、社会事象などをテーマにルポルタージュ作品を発表。著書に、『オウム裁判傍笑記』『池袋通り魔との往復書簡』『中国食品工場の秘密』『帰還せず――残留日本兵六〇年目の証言』(いずれも小学館文庫)、『食料植民地ニッポン』(小学館)、『フクシマ カタストロフ――原発汚染と除染の真実』(文藝春秋)などがある。

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