やっぱり「ゴルフは体で覚える」

プロゴルファー/青木 功

 正直なところ、私のゴルフレッスンは、時々評判のよくないことがあります。
 多くのアマチュアゴルファーは、青木だからこそ、取っておきの上達法があると考えているからです。ですが、実はごく基本的、それに手間暇かかる練習法ばかりなのです。

一つの例がバンカーショット。まず、自分に向かって2メートルほどの真っすぐな線をイメージして描いてみる。そして、その先端のところをまたいでアドレス、線を戻るように後ずさりしながら何度もクラブを下ろしてみると、その線が描いたときと同じく真っすぐなら、結構ゴルフの上手い人。でも、多くの人はどうしても右手が強いから、ヘッドが先に落ちて線の手前をたたいてしまうか、あるいは左ひざが緩んでしまい、線の左にヘッドが落ちることが多いのです。
 アマチュアゴルファーは、こういった理由を練習の前に聞いてから試してみたいようですが、私は「理論なんか忘れて、まず、練習をしてみなさい」と。同じ練習をひと月、ふた月と続けたり、クラブを左手で下ろしたり。バンカーはフワリとした高いボールを打つんですが、それには足腰をどっしりと構えないと、その球筋は出てこない。その球筋を体で感じることができたら、その技術は一生忘れない。私はそう言いたいんです。どうも、アマチュアの方は、最初に頭で理解してからでないと練習をしたくないようです。

若手の研修生もそうかもしれません。私は年に何度か、1週間ほどゴルフ場にこもり、朝晩走って足腰を鍛え、昼間はハーフのラウンドをすることがあるのです。そのとき、これからプロを目指す若手研修生が加わることがあります。
 昼間のラウンドを私が知人と回るとき、「2時間ほどで帰ってくるけど、その間、そこのグリーンの練習場で2メートルの位置からパット練習をしていたらいい」。そう言ってコースに出るんですが、2時間黙々とそのパット練習を続ける研修生は、まれと言っていい。途中の30分とか45分を一服していたんじゃないかと感じるときがあるんです。

2メートルの距離を2時間とか3時間、同じラインにボールを打ち続けると、ボールの重さで芝が次第にカップに向かって順目になる、グリーンの外から、そのラインを見ると雨どいのようにそのラインがちょっとくぼみ、カップに向かって白く見えることがある。そんなことを体験すると、ゴルフボールって重いもんだ、そう感じると同時に、パットをするとき、体全体でボールを打たないと思い通りの方向には行ってくれない、ということがわかる。そう感じてアドレスに入るから、腰を落とすどっしりとした構えになり、パットの名手になる。どうも多くの方々は、頭でゴルフを理解しようとし過ぎている。
 今回は、「ゴルフは体で覚える」、それを言いたかったのです。

プロゴルファー/青木 功(あおき・いさお)
1942年千葉県生まれ。64年にプロテスト合格。以来、世界4大ツアー(日米欧豪)で優勝するなど、通算85勝。国内賞金王5回。2004年日本人男性初の世界ゴルフ殿堂入り。07、08年と2年連続エイジシュートを達成。現在も海外シニアツアーに参加。08年紫綬褒章受章。
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