しかし、ウィーワークはプラットフォームビジネスでない。ただのサブリースのようなものである。だから、スケールするためには、つまり、顧客が増えれば、ビルを借りるか買うかしないといけないから、スケールしないのである。この場合、売り上げもコストも比例的に伸びていくだけであり、普通の企業の売り上げ増加と同じである。
そもそも儲かっていない。黒字になったのは立ち上げ当時の2012年くらいで、後は赤字が拡大していった。売り上げが増えれば増えるほど赤字になったのである。なぜ儲からないのか。
サブリースはそもそも儲からない、理由は簡単で、オフィスをサブリースするだけなので、アイデアの価値はゼロ、誰でもできるビジネスであり、誰でも参入できるのであり、実際、参入したのである。となると、顧客獲得競争が起きる。顧客を取るために、マンハッタンなどの一等地(起業家に受けそうな、あるいはほかのテナントに受けそうな)が奪い合いになる。仕入れコストは急激に上がる。広告宣伝費もいる。マーケティングの優秀な人材が必要になる。コストがかさむ。
アドバンテージはブランドだけ
一方で、ライバルに対するアドバンテージは何もない。ブランドだけである。ブランドと言っても、先に有名になっただけだから、ブランドポジションを維持するためには、ひたすらオフィスを増やし、顧客を増やし、業界1位を確保しなければならない。だから、体力勝負になる。そうなると、カネや資本がある方が勝つ。逆に言うと、カネの差しかない。だから、増資を繰り返し、借り入れも最大限行う。だから、カネが詰まればすぐに破綻するのであり、それを避けるためにはカネを注入し続けなければいけない。ソフトバンクグループは、出資者としてこの罠にはまったのである。
ではソフトバンクグループはそんなに馬鹿なのか。やはり、日本でお山の大将だっただけで、シリコンバレーでは通用しなかったのか。そうではない。シリコンバレー、ベンチャーファンド、ウォールストリートの金融マン、ファンドすべてが馬鹿だったのである。
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