スウェーデンのマイナス金利解除が持つ意味

2020年に向けてECBや日本銀行に大きな示唆

5年ぶりのマイナス金利政策解除を決定したリクスバンク(写真:ロイター/Violette Goarant)

12月19日、スウェーデン国立銀行(リクスバンク、中央銀行)は、政策金利であるレポレートを25ベーシスポイント引き上げ、ゼロ%とすることを決定した。2015年2月以来、約5年にわたって続いたマイナス金利政策を解除したのである。

声明文では「レポ金利の見通しは不変であり、今後数年にわたってゼロに据え置かれる」と述べられ、今回の利上げが累次にわたる利上げの始まりではないことが強調された。だが、決して芳しくない経済・物価情勢の中、副作用を念頭にマイナス金利解除を決断したことの意味は考えておきたい。

こうした動きがマイナス金利政策のパイオニアである欧州でどの程度広がるのか広がらないのかは、2020年の各国の金融政策において重要なテーマと考えられる。同様にマイナス金利政策を採用しているECB(欧州中央銀行)や日本銀行の政策を検討する上でも参考になる。

もちろん諸条件は大きく異なるので、単純比較には慎重であるべきだが、副作用を懸念する論調が欧州で出始めているのは確かだ。仮にECBがこのような論調に乗ってくれば、外圧に弱い日銀も影響を受ける可能性が多分にある。

ポイントは副作用対応であること

今回の利上げの重要なポイントは、景気過熱ではなく副作用への対応としての側面を備えているということだ。リクスバンクのイングベス総裁は、マイナス金利政策が景気押し上げに効果を持ったことは認めつつ、「マイナス金利政策が極めて長期にわたり導入された場合、経済に何が起こるかはまったく別の問題だ」と述べた。マイナス金利を続けることによる「怖さ」を理由に、今回動いたのである。

欧州でも日本でも「マイナス金利政策は副作用のほうが大きいのではないか」という論調が徐々に強まってはいるものの、実際にそうした解釈を前提として政策変更に至ったケースは他にない。

今回リクスバンクが公表した金融政策レポートでは「(2019年のように)経済が強い状態から弱い状態に向かう中でレポ金利を超低水準から引き上げることでインフレ目標が危機にさらされることはない。ゼロ金利と大量の国債購入は依然として緩和的な金融環境を創り出し、インフレ目標に近づくのに寄与する。予測期間にわたって、実質ベースで見たレポ金利はマイナス圏が維持される」との記述があった。

ここでのポイントは「実質ベースで見たレポ金利の水準」ではなく「経済が強い状態から弱い状態に向かう中でレポ金利を超低水準から引き上げ」という事実をリクスバンクが認めていることだ。同時に発表されている経済・物価見通しを見ても、決して力強い展開が想定されているわけではない。

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