子供たちはスーパーカーに乗る夢を見るか?!《それゆけ!カナモリさん》
しかし、既に興味・関心を失っている層に「クルマはステキだ!クルマは素晴らしい!」と言っても耳を貸してもらえるものではない。例えば、「陶芸」に興味がない人にその美しさや文化的な意義を説いても無駄なのと同じだ。
ゆえに、「将を射んとせばまず馬を射よ」。まず、脈のあるオジサンを取り込んで、一子相伝でその魅力を教え込ませようという戦法なのだ。開発者の願いは、オジサンたちの楽しそうな姿から、若い人にも関心が広がってほしいと考えているということである。
世界的に見れば、新興国の需要は活発化している。インドや中国といった経済発展の著しい国々だけでなく、さらに後発のインドネシアでも二輪車の生産が急増しているらしい。この先、さらに需要が高まる新興国も控えていることを意味している。しかし、そこで求められているのは、低廉で利益率の決して高くないクルマである。
国内を見渡せば、少子化によって、マーケット縮小はいかんともしがたい。しかし、それよりも急速な若年層の「クルマ離れ」によるマーケットの縮小は何としても避けたいところだろう。ましてや、業界最多のシェアを持つリーダー企業は、その流れを食い止める必要、いや責任がある。
さてあなたがマーケティングの責任者だったらどうするか。若者の意識まで一企業が変えられるのか。ファストファッションに身を包み、「身の丈消費」を心得ている、子供たちの心を動かせるのか。
トヨタは「若年層の親狙い」よりも、さらに壮大な戦略も展開している。