帰ってきた「ローラアシュレイ」新店戦略の焦点 日本撤退から約2年、ワールド運営で再出発

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1953年にロンドンで誕生したローラアシュレイは現在、ヨーロッパやアメリカなど29カ国で店舗を展開する。日本では1985年に東京・銀座に第1号店を出し、翌1986年にはイオンとイギリス本国のローラアシュレイが共同出資した合弁会社「ローラアシュレイジャパン」を設立。花柄のインテリア雑貨や衣料品で独自の世界観を発信し、多くのファンを獲得した。

ただ、2010年代半ばからは業績不振が目立ち始めた。店舗拡大により売上高は100億円前後を維持していたとみられるが、ローラアシュレイジャパンの決算公告によると、2014年度以降は4期連続の最終赤字に。2017年度は債務超過に陥った。赤字脱却の兆しが見えない中、イオングループ全体の収益性向上に向けた事業整理の一環で、2018年秋をもって事業を終了する運びとなった。

無尽蔵に広がる出店チャネルが重荷に

熱心なファンがいたにもかかわらず、なぜ業績不振に陥ったのか。複数の業界関係者は「過度な拡大路線」が失敗の要因だったと指摘する。

事業終了直前のローラアシュレイの国内店舗網を確認すると、目立つのが出店チャネルの多さだ。特に2000年代以降はイオングループがショッピングセンター開発を加速させたことに伴い、イオンモールへの出店が急増した。

固定ファンの支持が厚かったが、店舗の急拡大が裏目に出た(写真:ワールド)

路面店から百貨店、駅ビル、ショッピングモールと無尽蔵に出店先が広がり、店舗数は2000年度に66店舗だったのが、2008年度以降は100店舗を突破。ピーク時には約140店(2014年度、台湾・香港を含む)に達した。

もともと固定ファンの支持が厚く、トレンドに合わせた商品提案などをほとんど行わないブランドだっただけに、需要のないエリアに出店した店舗は売り上げが苦戦。その結果、固定費がかさんで収益を圧迫したとみられる。

店舗の急拡大はブランド戦略の面でも裏目に出た。「郊外のモールに出店が増えてから、上品な英国ブランドにチープなイメージが付いた。安価な商品が増え、ブランドの立ち位置もぶれてしまっていた」(別の大手雑貨小売店幹部)。ブランドイメージの希薄化により、一部でファン離れも引き起こすこととなった。

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