パラスポーツをより身近に「マイパラ!」の存在 東京2020パラリンピックに向け機運は高まる

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検索できる競技は、夏季・冬季のパラリンピック競技を含むパラスポーツ41競技を掲載しており、日本全国の508チームを検索できる。(2019年12月現在)

パラスポーツをより身近に感じてもらえるように「明るいトーンのマイパラ専用のピクトグラムもつくりました」という。人気のピクトグラムはシールを作って子供たちに配布するなど、広がりも見せている。マイパラ!は2017年4月に公開し、2018年には「グッドデザイン賞」を受賞している。

2019年はすでに8万件のアクセスがあった。チームに問い合わせるところまで行ったのは、これまでに1万人弱だが「マイパラの申し込みフォームからではなく、直接申し込む方もいる」というので、もっと多くの人がこのツールを利用してパラスポーツを始めているのだろう。

そのうち、健常者は35%いるという。「ブラインドサッカー、シッティングバレーボール、ゴールボールなどのパラスポーツは健常者でも参加できるチームもありますし、ボランティアをしたいという人も多い」という。チームの半数以上は健常者を受け入れている。

もちろん、障がい者にとってこのツールは役に立っている。例えば知的障がいがある人は高校を卒業すると運動する場がなくなることが多いという。「それを解消するためにマイパラを活用している方もいるようです」という。障がい者の心身の健康にも貢献している。

パラスポーツの人口を増やすために

「2020年東京パラリンピックが決まってから、いろいろなイベントなどでパラスポーツの体験会などが多くなっていますが、そこで『おもしろかった』という人たちへの次のアクションがない。そこで情報がなく、あきらめてしまう人も多い」と前田さんは指摘する。

「パラスポーツの人口を増やさないと、次につながらない」という思いもある。パラスポーツのチームには、外への発信力が弱いチームもある。そうしたチームをサポートし、やりたい人とやれる場、そして自分の好みをマッチングしていくことが、パラスポーツ人口増につながるのではないか。

より進んだ共生社会の実現をしていくために、2020年の東京パラリンピックがいい機会になる。「パラスポーツを見る」から「パラスポーツをやってみる」に変わっていく人も多くなることも予想される。やってみると、障がいに対する考えも変わってくる可能性もある。

興味がある人は、まず「パラスポーツ診断」を開いてみてはいかがだろうか。こんなパラスポーツがあるのか、と思うかもしれない。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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