「知的・精神障害者」の知られざる働き方の実態 3つの事例から見る労働問題の「一断面」とは

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NPO法人東京自立支援センター(東京都国立市)は障害者のための就労支援事業所で、2010年の設立時から特に就労継続支援A型に力を入れる。A型は、障害者総合支援法に定められた就労支援事業の1つだ。

就職が難しい障害者に一定の実習訓練を課し、採用者(合格者)に就労機会を提供し、仕事に関する知識や仕事の能力向上のための機会を設ける。2年ほど後に企業の就労へ結びつけ、自立できるように支援する。

健常者のレベルを超えるケースも

2019年12月現在、56人の障害者がA型の利用者として、同センターと契約する会社や工場で働く。主に次のような仕事をしている。おしぼりやフェイスタオル、バスタオルなどの包装および箱詰め、洗濯補助やおしぼりの荷積み、荷降ろし、ドアマット、モップの棚入れ、商品の入荷受け入れ、ピッキング、梱包・出荷作業、チラシの丁合、商品検査の作業など。

おしぼりの包装作業に従事する知的障害者(写真:NPO東京自立支援センター)

56人の内訳は、知的47人、精神4人、身体5人。特別支援学校などを卒業したが就労経験のない人や、就労したものの、何らかの事情で辞めてしまった人が多い。全員が、同センターと雇用契約型の最低賃金以上の労働契約を結ぶ。1カ月の賃金は週5日、1日6時間(午前9時~午後4時、残業なし)勤務で11万~15万円。

「知的障害者47人の障害程度は中軽度で、IQ 35ぐらいから70前後。理解力は幼稚園児から小学校高学年程度。単純作業は訓練しだいで、精度やスピードが健常者よりも上になる。健常者は1日800本ほどのおしぼりを包装するが、ある障害者は最初1日200本ほど。指導員や母親が教え込み、言葉では理解しにくいことは手本を見せて、本人にやらせてみた。今や健常者のレベルを超え、56人のうち、トップレベルになった」(髙森知理事長)

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