知的障害者12人のうち10人は軽度で、班長が教えた作業を正しく理解し、時間内で終えることができるという。重度の2人は制限時間を考慮して動くことが難しいときがあるようだ。
藤沢市資源循環協同組合の野毛政利所長は、「軽度、中度問わず、業務の指示やふだんの会話をするうえでの返答は障害を感じないほどであり、私たちがコミュニケーションに困ることは少ない。この職場以外にも働く場はたくさんあると思うが、そのような企業はまだ少ないのかもしれない」と語る。
単純な仕事に黙々と丁寧に取り組む
知的障害者に指示をすると、ほとんどの人がそのまま受け入れるという。単純作業に黙々と取り組む傾向があり、集中力や持続力はとくに優れているようだ。
「作業のスピードは、健常者よりも概して速い。不満を言うこともほとんどない。こちらからマメに話して、丁寧に観察をしている。本人や施設との話し合いで、ほかの作業を担当してもらうこともある」(町田早美係長)
作業は5人ほどでチームを組んで対応するケースが多い。知的障害者4人の中に精神障害者を1人入れると抵抗感を示す場合もあるので、班長たちは双方の配置に細心の注意を払う。ある精神障害者の社員は作業場や作業音に敏感だった。本人の希望もあり、1人でマットの解体作業をする担当にした。
全員が勤務態度はよく、勤勉だが、知的障害者と精神障害者の働き方にはやや異なる一面があるという。
「精神障害者の人は作業の仕方に強いこだわりがあるのかもしれない。妥協できない場合もあり、改善されるまで言い続けることもあったが、いかなるときも私たちは頭ごなしに否定はしない。話し合いを密にして、不満を可能限り取り除く。施設や家族とのコミュニケーションを深くして、安心して働くことができるように心がけている」(野毛氏)
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