いつも足が痛い人がやりがちな靴のNGな選び方 「靴底・中敷き」からわかる歩き方の悪いクセ

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⑦爪先がすり減っている

中敷の爪先辺りには、指の跡がついているのが普通ですが、黒ずむどころか、先端がすり減ってしまっている方がいらっしゃいます。これは、かかとの着地力が弱いためにアーチの機能が使えず、指の力だけで歩いている証拠。足の各所に痛みが発生している可能性大です。

⑧小指付近のフチが黒ずんでいる

歩くとき、足が外側に極端に流れていると、この部分が黒ずみます。靴の中で足の小指周辺が、甲のサイドに押し付けられることも示しており、小指に痛みを感じているはずです。

⑨かかとの両サイドが黒ずんだり、つぶれている

かかとが小さいために、着地したときに、靴の中でかかとが安定せず、外側へ、内側へとブレ、ローリング現象を起こしているのが原因です。取り外しの可能なタイプで、かかと部分がカップのようになった立体型の中敷では、かかと部のフチが完全に潰れてしまいます。

これら9つのサインは、複合的に現れます。例えば、かかとの外側が減っている(①)と、甲は小指部分が出っ張り(③)、中敷は小指辺りの縁が黒ずむ(⑧)といった具合です。早速、玄関に走り、靴をひっくり返したり、中をのぞき込んだりしていらっしゃるのではありませんか。

しかしいちばんお気づきいただきたいのは、靴の変形や黒ずみの原因が、変形や黒ずんでいるその箇所にあるのではなく、アーチの低下、それに正しく着地できていないことにあることです。原因がわかれば、それを解決する答えが見つかります。私がご提案する解決法は、正しい歩き方を会得することです。

小さい靴を履いている人は多い

さて、数十年、足のことに従事しておりました「フットケアコンフォートセンター」には、足のトラブルを抱えた多くの方がいらっしゃいました。

まず行うのが足の検査。その結果に基づいて痛みの原因などをご説明し、快適歩行への数々のご提案をします。また、いらっしゃる際には、お履きになっている靴をすべてご持参いただいておりました。検査結果と実際に履かれている靴を照らし合わせると、痛みの原因がわかるからです。

そしてご説明は、検査によって明らかになった実際の足のサイズをお教えすることから始めます。

ある日、いらっしゃった女性の足の計測値は、右23・75cm、左23・5cm。ところがご持参の靴は、すべて22・5cm!? 実際の足より1cmも小さな靴を履いていたなんて、足が痛くなかったのかしら!? そう思われるでしょう。しかし、こういう方は決して珍しくありません。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?

この女性に、なぜ、このような小さな靴を履いているのかと伺いました。答えは、「23・0や23・5cmを試したこともあるが、かかとがパカパカして脱げやすい」とひとこと。

この方の足は、細めでした。22・5cmでも履けないことはありません。しかし、この場合の“履ける”は、足が入るという意味。足が入っても、足のサイズよりも小さな靴で歩くと、痛みやトラブルが発生します。洋服なら、ボタンがはじけたり、破れたりしていたことでしょう。

またこの方の足は、かかとが標準より小さめ。かかとがパカパカするのは当然。かかとが脱げそうな状態での歩行は、誰しも好みません。ついつい小さめの靴を購入した気持ちがひしひしと伝わってまいりました。しかし、つらかったのは、足でございます。この方のかかとパカパカへの対処法は、間違っていたのです。

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