ランニングでケガしがちな人が知らない超基本 「インナーユニット」が体幹の安定を呼ぶ

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体幹には、この腹横筋に加え多裂筋、骨盤底筋群、横隔膜から成る「インナーユニット」という構造があり、これらすべてがうまく働くと体の安定感が増します。この「インナーユニット」をうまく機能させることが体幹トレーニングの超基礎編で、青学大駅伝チームの選手たちも日々のウォーミングアップや補強トレーニングに取り入れているほど大切なものです。

とはいえ、体幹トレーニングは万能ではない

1つ気をつけていただきたいのが、体幹トレーニングは万能ではないということです。

よく「体幹トレーニングさえすれば速く走れますか?」「楽に走れるようになりますか?」という質問をいただきます。たしかに青学大駅伝チームでも、入部したての1年生で「インナーユニット」を使いこなせている選手は1割程度しかいません。

そこから練習と並行して体幹トレーニングを継続することで、記録を伸ばしたりケガに強くなったりする選手を数多く目の当たりにしてきました。もちろん一般の人でも「インナーユニット」を機能させる体幹トレーニングで、姿勢がよくなったり腰痛が軽減されたりした例は多数あります。しかし全員が全員、体幹トレーニングで速く走れたり楽に走れたりするようになるとはかぎりません。

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体幹トレーニングのメリットを強く実感できるのは、もともと体のブレが大きい人です。ブレが大きければ、それを抑えるための筋肉が使われるため、走ること以外にも余計なエネルギーを消耗します。だから疲れやすくなる。この体のブレがスタミナ不足に関係しているケースは、たしかにあります。

一方で、そもそも心肺持久力という体のエンジンを担う部分が弱く、それに見合わないスピードを出してバテてしまう人もいます。心肺機能や筋持久力が弱いと、すぐに疲れるのですが、これは体幹トレーニングだけでは解決できません。インターバルトレーニングなどの良質な練習で心肺持久力を高めることが必要なのです。

中野 ジェームズ 修一 フィジカルトレーナー

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なかの じぇーむず しゅういち / Shuichi James Nakano

1971年生まれ。フィジカルトレーナー。米国スポーツ医学会認定運動生理学士。アディダス契約アドバイザリー。日本では数少ない、メンタルとフィジカルの両面を指導できるスポーツトレーナー。トップアスリートや一般の個人契約者の、やる気を高めながら肉体改造を行うパーソナルトレーナーとして数多くのクライアントを持つ。現在は大学駅伝チームのトレーナーも務めつつ、講演会なども全国で精力的に行っている。 おもな著書に、『下半身に筋肉をつけると「太らない」「疲れない」』(だいわ文庫)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)、などがある。株式会社スポーツモチベーション

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