ランニングでケガしがちな人が知らない超基本

「インナーユニット」が体幹の安定を呼ぶ

短い時間や距離を走ってもどこも痛まないのに長時間走ると痛みを抱え、ケガや障害が起きるとしたら、この一軒家と同様にビスが緩んで接合金属が壊れたことが疑われます。一軒家に耐震構造が必要なように、長時間走るために必要な構造をつくらなければ、体も壊れてしまうのです。

体は、目的に合わせてカスタマイズしていく必要があります。

短距離を速く走りたいなら、瞬間的にパワーを出すために必要な筋肉をつけるべきですし、長距離を走りたいなら、心肺機能を強化し筋肉を長時間動かし続けられるようになるトレーニングが必要。さらに、動き続けた振動によって体のどこかに少しずつひずみを起こすことを考えると、それを防ぐ補強もすべきでしょう。

これを一軒家の例で言うと、短距離走は1回の大きな地震に耐えられるか、長距離走なら毎日のように微震で揺らされ続けても大丈夫か、ということになります。前者は大きくて一瞬の力が強い筋肉をつけて大地震に備え、長距離走の場合は小さくて力が弱いものの、長時間引き締め続けて安定させてくれる、体の深部にある筋肉を作動させて微震に備えます。

こうして体のブレを抑えた状態で動けるようになると、下肢への負担は大きく減らせるため痛みやケガを遠ざけられるのです。

体の耐震構造の鍵を握るのが体幹部

ひざや股関節に痛みを抱えると痛む部位だけケアする方が多いのですが、痛むようになった原因が脆弱な体の耐震構造にある場合は、そこを強化しないかぎり焼け石に水です。体がグラグラ動くことで、ひざ関節や股関節が本来すべきでない動きをさせられ続けて痛みを抱えたのですから、まずそこに手を打つべきでしょう。根本原因を放置すると、ほかの部位にまで痛みが飛び火することさえあります。

では、具体的には何をすればいいのでしょうか。

その鍵を握るのが体幹部、つまり胴体です。

胴体には肋骨や骨盤に守られていない部分があり、ここが不安定だと体の動きにブレを生じさせがちです。また、走る際は脚を前後に動かしますが、骨盤が過剰に動くと骨盤に乗っている腰椎にも負担がかかるためグラつきやすい。

この2つに効果がある働きを持つのが、腹横筋です。腹横筋は肋骨と骨盤の間を覆う薄い膜状の筋肉で、コルセットのように胴体を引き締めて守る機能があります。腹横筋の引き締め作用は胴体を安定させつつ、骨盤の過剰な動きを抑えて腰椎への負担を軽減してくれるのです。

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