「年賀状やめた人」ほど世間体が気になっている なぜもらってももらえなくても不満なのか

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最近は、「今年で年賀状をやめます」というメッセージを送る「年賀状じまい」をされる方も増えています。急に出さなくなるのは、失礼になるのではといった思いや、自分自身のけじめをつけたいからなど、思いはさまざまなようです。それで自分の気持ちが整理できるのでしたら、それもありかと思いますが、年頭から縁切りのようなメッセージをもらうのは不快といった否定的な意見もあり、人の受け取り方は本当にさまざまです。

これだけ多様化が叫ばれているのですから、年始の挨拶の仕方は人それぞれでよいはずなのに、自分と同じ行動をとらないことに対して、非があるようにいう方もいて、それにより傷つく方もいます。

私はこういう理由で年賀状出しません、とSNSなどで宣言するというようなことも増えています。年末年始はとかく忙しいですし、普段、密に連絡を取っている相手に、あえて出す必要がないと考えたり、形骸化した年賀状だけの付き合いに価値を見いだせないのは、まったく問題はないと思います。

しかし、出している人に対して「非効率」などと批判をするのは、自分がどう思われるかというような不安や、自分と同じでないことを受け入れられないという気持ちが隠れているようにも思います。自分の選択に対し自信を持てず、他人を批判することで、自分を正当化しようとしているように見えなくもありません。

要するに、年賀状の賛否にこだわるということは、それだけ年頭の挨拶を大切に思っているからこそともいえます。

年賀状を出さないことを伝えるときは…

人を傷つけない伝え方にI(アイ)メッセージというものがあります。文字通り「私」を主語にした伝え方です。「私は、こうする」「私は、こうしたい」といった自分の思いを伝える方法です。反対に「あなた」を主語にしたものをYOUメッセージと言います。「今どき○○なんて、(あなたは)時代遅れ」といわれたら、不快に思う方も多いと思います。YOUメッセージは、脅迫や威圧を感じるからです。

「I’m OK. You’re not OK.(私はいいけど、あなたはダメ)」では、お互いを尊重する関係性は築きにくいです。年賀状を不要と思う人がいて、年賀状を楽しみにしているという人もいます。

「I’m OK. You’re OK.(あなたも私もOK)」になれたら、もっと気持ちも柔軟に、相手を受け入れることができるのではないでしょうか。

どんなことでも、よかれと思ったことが相手に伝わらないこともありますし、悪意がなくても相手を傷つけることがあります。そんなとき、私はこう感じたと伝えることは、コミュニケーションにおいて大切なことですが、あなたが悪いと一方的に否定するのは関係性をつくるうえで障害となります。

年賀状の賛否を論じるにあたり、多様性を認め、お互いを尊重することを考える機会にしていただけたらと思います。「みんな違ってみんないい」と感じるためには、心の余裕が必要です。

自分を大切にすることが、相手を大切にすることにつながっていきます。

ちなみに、筆者は5年ほど前に年賀状をやめました。

年賀状を出した方にとっても、出さなかった方にとっても、よい1年となりますように。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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