面談に来た米川静夫(41歳、仮名)は、開口一番にこう言った。
「今まで恋愛らしい恋愛をしないままに、ここまで来てしまいました。唯一の恋愛は、大学時代に文通をしていた彼女がいたことです。遠距離恋愛でした」
異性との“文通”は、交際になるのだろうか。ただ男女間の交際というのは、それをどう捉えるかは、その人次第。結婚のように婚姻届が存在するわけではないので、彼にとって文通していた彼女は恋人だったし、恋愛の相手だったのだろう。
「生きること=仕事」の人生
「それを最後に社会人になってからは、女性とお付き合いしたことがありません。合コンに誘われて、1~2度行ったことがありましたが、そこで電話番号を交換することもなく、参加しただけで終わってしまいました」
身長は170センチ近くあり、スラリとした細身で清潔感もある。顔もハンサムな部類に入るだろう。そんな彼が、なぜ恋愛には無縁だったのか。
「今まで“生きること”イコール“仕事をすること”だったんです。大学を卒業してから起業したんですが、それでは食べていけなかった。そこで、IT関係の仕事をフリーランスでやったり、契約社員で働いたり。生きていくのに精一杯でした。“数年後に仕事がどうなっているのか”“業界で生き残っていけるのか”そんなことを考えていた20代、30代でした」
合コンに行き、女性を誘ってデートをするには、お金がかかる。金銭的にも精神的にもその余裕はなく、恋愛には目が向けられなかったという。しかし、ここで婚活に目を向けられる転機が訪れた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら