「でもね、たった1時間のお見合いでも、お相手からお断りがくれば、傷つくんですよ。それは、自分を受け入れてもらえなかったことだし、自己否定をされたことだから。ただ、振ったり振られたりが恋愛だから、お断りをされたら、“はい、次!”の精神で気持ちを切り替えるんです」
恋愛をすれは、好きな人からひどい言葉を言われて傷ついたり、振られたりするのは日常茶飯事。お見合いで傷つくことも大事なのだ。
そして私は米川に、2年前に40歳で入会し、10カ月で成婚退会をした小宮省吾(42歳、仮名)の話をした。
小宮は、35歳のときに2歳年上の女性と3カ月だけお付き合いをした。それが唯一の恋愛経験だった。その女性とは一度男女の関係になったが、以来連絡がこなくなり、自然消滅的に恋愛が終わったという。
小宮が面談に来たときにも今回と同じく、「とにかくバッターボックスに立ちましょう」という話をした。彼は申し込まれたお見合いはすべて受諾し、まずはお見合い経験を積んだ。そんな中で、活動して1カ月後、彼が真剣に結婚を考えたいと思った女性が現れたのだが、気持ちを伝えるとあっさりと振られた。
手痛い失恋をしたものの、気持ちを切り替えてお見合いを続けていくうちに、また真剣交際に入りたいと思う女性が現れたのだが、彼女にも振られた。2回目はさすがに気の毒なくらい落ち込んでいた。
何度もお見合いした末に得られた幸せ
それでも前を向いてお見合いを続け、その中でやっと真剣交際に同意してくれる女性が現れた。その女性には、一昨年の年末にプロポーズをして受けてもらった。幸せの絶頂にいた1月に女性の気が変わり突然婚約破棄をされ、今度は奈落の底に突き落とされた。
男泣きする彼に、「泣いてる暇はないわよ。次のお見合いをしましょう」と叱咤激励し、見合いを5つ組み、その中で3番目に会った女性と真剣交際に入り、5月にプロポーズ、7月に入籍をした。
今年の年賀状は、仲むつまじい結婚式の写真と新居の住所が印刷されていた。
私は、米川に言った。
「その男性は、恋愛してこなかった空白の年月を10カ月で取り戻したんですよ」
ずっと私の話を聞いていた米川が言った。
「わかりました。こちらでお世話になるかどうかは、いったん持ち帰っていいですか。自分でもう一度考えてみます」
ところが、それっきり連絡はこなかった。ほかで婚活を始めたのか、1人で生きていく覚悟を決めたのかはわからない。私の力が及ばなかった。
婚活に踏み出せないでいる人たちに、言いたい。
まずは、動くことだ。結婚を真剣に考えている相手に出会うことだ。一緒に時間を重ねて、気持ちをその都度伝え、2人の距離を縮めることだ。振られたらまた立ち上がって進むことだ。
活動場所はどこでもいい。結婚相談所でも、婚活アプリでも、婚活パーティーでも、何でもいいのだ。
頭で考えているなら、起こせアクション! 温もりのある人生を過ごすために……。
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