及川光博「2点突破スペシャリスト」という凄み

イメージでくくれないビジネスパーソンの資質

ビジネスパーソンでも、自分のキャリアを点ではなく線でとらえられる人は、及川さんのように「主観と客観を併用」できたり、周囲を輝かせる位置にやりがいを見出したり、機が熟すのを待てたりするものです。

「王子からの転職」に見るそつのなさ

次にふれておきたいのは、及川さんの人柄。これまでさまざまなメディアで共演者やスタッフたちが及川さんの明るくフレンドリーな人柄を語ってきましたが、決してそれだけの人ではないでしょう。

及川さんは中学から大学まで成城学園に通うエリートであり、家にメイドがいる裕福な家庭で育つなど、イメージ通りのところがある反面、「学生時代イジメを受けていた」「アルバイトしながら舞台演劇やライブ活動をしていた」という不遇の日々も経験してきました。

単なるエリートではないからこそ、デビューするために「ミッチロリン星の王子様」というキャラクターを選ぶことを受け入れられたのでしょう。及川さんは1996年のシングル「モラリティー」で歌手デビューしましたが、もともと俳優志望。「芸能活動を仕事にするために音楽活動に力を入れた」という泥臭い姿勢は、エリートや富裕家庭育ちとは遠いものであり、「ポジティブもネガティブも環境や他人のせいにしない」という成熟した人柄が伝わってきます。

歌手デビューから1年後の1997年、及川さんが脚光を浴びたのは「マツモトキヨシ」のCM。白のタキシードをまとい、女性に涼しい顔で「どんなに高いものでも買ってあげるよ。僕はお金持ちだから」と語りかける姿が話題を集めました。

さらに1年後の1998年、及川さんはライブで「“王子”からの転職宣言」を行い、「職業・ミッチー」と語ったあと、俳優としての活動を本格化。当時、及川さんは笑いながら「王子に飽きたのかな」と話していましたが、「演技と歌の幅をもっと広げたい」という思いがあったのは想像に難くありません。

デビューのきっかけをつかみ、やりたいことに近づいたからこその転職宣言であり、「飽きられる前に」というスピード感も奏功しました。芸能人の中には「強烈なキャラクターをさんざん引っ張って突然やめてしまう」という人も少なくありませんが、及川さんは転職宣言後も王子キャラをすべて捨ててしまうのではなく、俳優として演じる役柄の中で生かしていました。そんなそつのなさがあるからこそ1998年から22年連続で連ドラ出演を果たしているのでしょう。

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