40代は「お金目的の転職」をしてはいけない理由 中高年のための「転職のコツ」を一挙紹介
近年は小規模ながら、50代の転職市場が形成されている。ただしエグゼクティブの転職を除けば、この世代の転職希望者が仕事の領域を広げて収入も増やす転職を実現するのは、極めて難しいのが実情だ。
客観的に見て、50代は転職するには遅すぎる年齢だ。希望する条件での転職はできないという認識を持つことが、まずは求められる。転職を希望する場合も、本当に転職しなければならないのかをよく考えて行動に移さなければならない。
40代に計画し、綿密に準備してきたキャリアプランを50代で実現しようというのでもない限り、厳しい転職市場に打って出るのはおすすめできない。50代が転職を決断するのは、やむをえず職を変えなければならない事情があるときだけだと考えるのが賢明だ。
50代は“守りの転職”
ただし、ごくまれに50代でも理想的な条件で転職できることがある。私の会社でも、50代の転職希望者が、人材登録からわずか10日ほどで採用されたことがあった。転職希望者は、取り扱い企業が国内に3、4社しかないという、ある希少な商品の営業に携わっていた経歴の持ち主である。
人材登録の際、当人から「自分は、その商品しか売ったことがない。ほかの営業はできない」という話があり、おそらく希望どおりの条件で転職するのは難しいだろうと私たちは考えていた。
そんな矢先、その商品に通じた人材が欲しいという求人依頼があったのだ。求人元はその商品の取り扱い企業ではないが、事業拡大を目指し、新規プロジェクトでその商品を取り扱いたいということだった。
特殊業務の求人ということで、待遇も破格である。結局、その転職希望者は、本人が提示していた条件以上の高待遇で転職することができた。 「ファインセラミックを扱っていた人はいないか」「高圧ボイラーを設計できる人はいないか」というように、よく似たケースは技術系の職種ではときどきある。といっても、求人に見合う人材がタイミングよく登録しているとは限らない。
そんな巡り合わせで転職が決まるのは、宝くじ並みの確率だということだ。その前提で考えると、転職活動中に条件がピタリと合う求人に運よく巡り合ったなら、思い切って転職を決めるべきだといえそうだ。
どういう形にせよ、50代が転職を決意したらなら“守りの転職”を心がけてほしい。簡単にいえば、不要な冒険は自重し、これまで築いてきたものを守り切ることに全力を傾けるということである。そうやって、60代を迎えてからも元気に仕事を続けられる環境を築くことが、50代が転職を考えるうえで最も重要なポイントということになる。
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