ロシア原発ビジネスは本当に「儲かる」のか

海外原発はほぼ赤字、発注国とのトラブルも

2018年4月3日、アックユ原発の着工式典に参加したロシアのプーチン大統領(右)と、トルコのエルドアン大統領(左)(写真:ロシア連邦大統領府公式サイト)

世界で「勝ち組」とみなされているロシアの原子力発電ビジネスが、実際は危うい状況にあることが明らかになってきた。

原発輸出ビジネスを一手に担う大手「ロスアトム」で、発注国との対立や予期せぬトラブルによる建設遅延が多発。計画自体が凍結に追い込まれる事例が出ている。ロスアトムの受注条件を確認したところ、新興国での原発ビジネスが健在であるどころか、ロシアの財政をむしばむギャンブルになりつつあることがわかった。

世界12カ国で原発計画を進めるロスアトム

ロスアトムの傘下には子会社や研究機関含めて300以上の組織があり、核燃料の製造から設計、建設、発電、廃炉まで幅広い事業を網羅している。このような垂直統合型のビジネスは世界でも類を見ない。アメリカや日本では、燃料製造や原発建設、発電事業をそれぞれ別の企業が担っており、中国でも垂直統合型の独占企業は存在しない。

これらを束ねるロスアトムはまさしく「独占原子力事業体」と呼べる存在だ。さらにロスアトムの子会社には原発輸出専業の「アトムストロイエクスポルト」があり、同社を通じて海外での原発受注を進めてきた。

ロスアトムが受注した海外原発プロジェクトは12カ国で合計36基ある(2019年4月時点)。ハンガリーやフィンランド、中国、インド、バングラデシュ、イラン、エジプトなど欧州から中東、アジアの世界各国で原発計画を進めている。

しかし、ロスアトムの海外受注案件を個別にみると、堅調とは言えないことがわかる。発注国との対立や予期せぬトラブルで建設遅延が頻発し、計画自体が凍結に追い込まれる事例もある。

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