ロシア原発ビジネスは本当に「儲かる」のか

海外原発はほぼ赤字、発注国とのトラブルも

「成功例」であるかのようにみなされているトルコへの原発輸出も前途多難だ。

2019年7月29日、トルコのアックユ原発の建設現場に「デブリキャッチャー」と呼ばれる大規模な設備が搬入され、同原発本体の建設が本格的に始まった。

トルコのアックユ原発の建設現場に使われるデブリキャッチャー(撮影:ロスアトム社公式サイト)

アックユ原発は2010年のロシア・トルコ政府間合意に基づいて、ロスアトムが受注したトルコで初めての原発だ。ロシア製加圧水型原子炉を合計4基(各120万キロワット)建設する大規模事業だ。エジプトのように建設前段階でのトラブルはなく、着工に至った。

しかしアックユ原発の受注条件はロスアトムにとってきわめて厳しい。設計・建設から発電事業、廃炉まですべてを1社で担当するBOO(Build-Own-Operate)方式で、原発にこのモデルが適用されるのは世界で初めてのことだ。建設を担当するロスアトムの子会社「アックユ・ニュークリアー」社は実質100%ロシア国営で、建設だけでなく、発電事業についてもロシア側がリスクを負う。

リスクの高いトルコ・アックユ原発事業

「アックユ原発建設の条件を詳細に分析すると、このプロジェクトに関わるリスクと、数十億ドルともみられる追加コストをロシア側が負担することは明らかだ」。全ロシア原子力機械製造研究所のオストレツォフ教授はこう指摘している。

送電線の建設費用もロシアが負担する。アックユ原発は電力の消費地から遠く離れている一方、トルコ側は原発建設用地を提供して認可するだけにとどまり、送電線や変電所の建設義務もない。一方、原発建設工事の50%をトルコ企業に発注するという条件も付いている。

このアックユ原発は、ロスアトムにとって重い十字架となる。リスクやコストの一切合切を背負い込む先例ができてしまったためだ。今後は、ロスアトムが新規に原発輸出を試みるたびに、発注国から「アックユ方式」を求められる可能性が高い。

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