エンジェル投資家としての「本田圭佑」真の実力 「ポケットマネー」で起業を支援する背景

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さらに株式型クラウドファンディング(CF)市場が立ち上がり、一般人もエンジェル投資に気軽に参加できるようになった。株式型CFは未公開企業がインターネット上で不特定多数から資金を募る新たな手法で、改正金融商品取引法の施行により2015年に国内で解禁された。

資金調達を希望する企業は専門サイトを通じて、ネット上で数多くの投資家に出資勧誘し、投資家は見返りとして株式を取得する。法改正から2年後の2017年に第1号案件の調達が始まり、2018年の資金調達額は前年比2倍超に急拡大した。

折しも、AIやブロックチェーンなど次世代技術の台頭だけでなく、人手不足、少子高齢化対策など社会問題も深刻化しており、スタートアップ投資のテーマには事欠かない。日本の個人金融資産は約1800兆円と、アメリカに次ぐ世界で2番目の大きさを誇る。

1億円を超える純金融資産を持つ世帯数は2017年に126万世帯と、2000年以降で最も多く、「アベノミクス」前の2011年と比べて5割も増えた。株高や仮想通貨バブルで財をなし、富裕層の仲間入りを果たした人も増えたとみられる。こうした投資に関心の高いニューリッチが、株式型CF市場の成長を牽引している。

起業後進国といわれた日本

かつては「起業後進国」ともいわれた日本だが、こうしたリスクマネーの裾野の広がりを好機と捉え、近年は起業の動きが勢いを増す。

『エンジェル投資家とは何か』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

近刊の『エンジェル投資家とは何か』では、脚光を浴びるエンジェル投資家の実態を詳らかにすることにより、「第4次スタートアップ・ブーム」と呼ばれる活況の最前線に迫った。その過熱ぶりから「バブルの危うさ」を指摘する声も一部で出始めており、今後の課題やブームの行方についても考察した。

スタートアップ業界は、その濃密な人間関係から「村社会」によく例えられる。村の中では当たり前の事柄も、一歩外へ出ればあまり知られていないことが意外と多いため、できる限りわかりやすい表現や解説を心がけた。企業の新陳代謝を通じた日本経済の底上げには、スタートアップ業界の発展は欠かせない。

本書をきっかけの1つとして、業界への世間の関心が一段と高まれば筆者の望むところである。(文中敬称略)

小川 悠介 共同通信社経済部記者

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おがわ ゆうすけ / Yusuke Ogawa

1983年生まれ。2008年に早稲田大学を卒業し、日本経済新聞社に入社。パナソニック勤務を経て、2017年から現職。本社経済部にて、民間企業や株式市場の取材を担当する。

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