エンジェル投資家としての「本田圭佑」真の実力 「ポケットマネー」で起業を支援する背景

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梅雨空が広がる2019年6月の週末。大阪で開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が間近に迫る中、東京・永田町の「ザ・キャピトルホテル東急」で一風変わった名前の秘密会合が開かれた。その名は「KSKサミット」。本田圭佑が投資先の起業家らとの交流のために初めて企画したイベントだ。

円形のシャンデリアが天井に輝く宴会場には、メルカリ会長の小泉文明やディー・エヌ・エー会長の南場智子、実業家の堀江貴文ら著名ゲストを含めて数十人が集い、事業計画を披露するピッチイベントやトークセッションが催された。

「サッカーしかやっていなかった自分が、まさかビジネスにこれほど関わるようになるとは思わなかった」

きっかけは社会貢献活動

会合の冒頭、本田は黒のTシャツにジーンズ姿で壇上に現れ、エンジェル投資にかける胸の内を語り始めた。

もともと本田は起業家への支援に乗り出す前に社会貢献活動に関心を持った。きっかけは、オランダのサッカークラブへの移籍だったという。アフリカや南米出身のチームメイトが自国の親族や知人に給料の多くを送金する様子を目の当たりにし、世界の貧困問題に出会った。実態を知るために孤児院などに足を運ぶうちに「誰もが夢を追い続けられる世界をつくりたいと考えるようになった」。

2012年にサッカー教室を開設し、今では中国やタイ、カンボジアなどを合わせ国内外の計75校で約5000人ものスクール生を抱える。ほかにもアジアの発展途上国で学校の建設に乗り出すなど活動の範囲を広げる一方で、次第に自身の寄付だけでは限界があることに気がついた。

そこで始めたのがエンジェル投資だった。「投資」ならば獲得したリターンを次の投資に回したり、寄付に使ったりもできる。才能豊かな起業家を多数支援することで、よりよい世界に一足飛びで近づくことも可能だ。2016年に個人投資会社KSKエンジェルファンドを設立。

「次世代に少しでもより平和で明るい未来を残せるようにエンジェル投資家として可能な限り投資し続けていこうと考えています。行動あるのみ」。本田は「インスタグラム」にこんなメッセージを投稿し、投資家としての一歩を踏み出した。「ファンド」の名前が付いているが、運用資金は本田のポケットマネーの数億円だ。創業初期段階の国内スタートアップ企業を対象にし、1社当たり500万~1000万円程度を中心に投資する。

イグジットに成功した事例も出てきている。12月11日には、2000万円超を投じたクラウドファンディング大手「マクアケ」が東証マザーズに上場し、本田は一部の株式の売却で約4億円を手に入れたほか、残りの保有株の時価総額は約40億円に一時膨らんだ。

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