「トランプ弾劾」が示すアメリカの深刻な二極化

歴史的な裁判のお膳立ては整ったが

アメリカの議会下院では18日、投票の結果トランプ大統領を弾劾訴追することが決まった(写真:Doug Mills/The New York Times)

アメリカの議会下院は18日(現地時間)、ドナルド・トランプ大統領を権力乱用と議会妨害の理由で弾劾した。トランプ大統領は重罪および軽罪への関与で告発され、上院での解任に直面する史上3人目の大統領となった。

憲法にのっとって結論が出されるこの日、党派間の緊張が高まる中で、2つの弾劾条項に対する投票はおおむね党の路線に沿った結果に収まった。投票前、夜まで終日にわたり繰り広げられた激しい討論は、トランプ時代においてアメリカの政治を左右する深刻な両極化を反映していた。

来年早々には「歴史的裁判」へ

トランプ大統領が民主党の政治的ライバルたちの信用をおとしめるため、政府の力を不正に使ってウクライナから調査の形で選挙支援を求めたと糾弾する権力乱用に関しては、2人を除くすべての民主党員が支持した。共和党員は全員がそろって反対票を投じた。同条項は230対197で可決され、ナンシー・ペロシ下院議長が議長席から小槌をたたき、投票を締めくくった。

2つ目の嫌疑である議会妨害に関しては、3人目の民主党員が共和党員に加わって反対票を投じた結果、投票結果は賛成229、反対198だった。

弾劾投票によって、来年早々から始められる上院での歴史的裁判へのお膳立てが整った。その裁判によって、第45代大統領を無罪とするか有罪として罷免するか、最終的な結論が出される。トランプ大統領が再選挙に臨む10カ月前というタイミングだ。共和党優位の上院での選挙では無罪判決が予想されるが、裁判への議事進行決定によって、トランプ大統領の政権掌握後大きく浮き彫りにされたアメリカ内の政治的文化的対立が一層激化することは間違いない。

18日、民主党はトランプ大統領の弾劾について、その問題行為がどこから見ても明らかとなった頽廃的大統領にこれ以上自国を侵害させるのを阻止するための緊急動議であると特徴づけた。

「われわれは過去3カ月間にわたって、トランプ大統領が新たに選出されたウクライナ大統領に圧力をかけて自分の政治的ライバルに対する調査開始を発表させるため、アメリカ大統領としての権力を濫用したということへの明白なる証拠を見出してきた」とカリフォルニア州のアダム・シフ下院議員は語る。同氏は諜報活動委員会会長で、弾劾尋問を主導した人物だ。

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